マヴィ代表・田村安オフィシャルブログ

Organic Wine Specialist

マヴィ創立23年の想い|城の時代からニューノーマル時代へ

シュトゥリチンガー家訪問時の日の丸
シュトリッツィンガー家訪問時に掲げてくれた日の丸 (2019年6月撮影)

マヴィは3月3日に23周年を迎えます。
日本初のオーガニックワイン専門インポーターとして1998年に創業して以来、多くのみなさまに支えていただき感謝申し上げます。
コロナ禍で危機的な状態が続いている中、マヴィのオーガニックワインをご愛飲いただき、本当にありがとうございます。

事務所は城

23年前、オーガニックという言葉がほとんど知られていなかった時代に、友人の会社の机1つを借りてPC1台で起業。数か月後にワンルームマンションを借り、自前の事務所を構えたのだが、その時の高揚感と不安感は、今でもはっきりと覚えている。

昭和の人間なので、事務所は城。

身の丈に合わない先行投資で専用通信線を引き、UNIXのWEBサーバーを設置してインターネット通販を開始したが、PCはまだ50万円以上する業務用機かオタクの宝物。世の中はブロードバンドどころか、ADSL前のダイヤル接続時代、当たり前だがネット注文などほとんど入らず、赤字は雪だるまのように膨れ上がった。生き残れたのかが本当に不思議だ。

その後時代が追着き、オーガニックワインが少しずつ売れるようになり、スタッフも増え、数回引越すことになったが、僕にとっては常に事務所は居城であり続けた。

日本では知られていなかった「オーガニックなライフスタイル」を広めるためNPOオーガニック協会を創り、オーガニックフェスタを主催。何かイベントを開催する度に、僕もスタッフも事務所に泊まり込み、作業に没頭した。まるで毎日が闘いで、やることはいくらでもあった。生産者達も毎年何人かヨーロッパから飛んで来てブースに立ってくれ、パーティーでも大勢のお客様達やボランティア達と大いに交流した。

今や「オーガニック」はもはや誰でも知っている言葉になり、2018年にオーガニック協会はタスクを終えて解散した。

そしてコロナ禍の昨年、マヴィは本社事務所を廃止してテレワークとなった。以来、人が集まり交流するイベントは一度も開催していない。しかしマヴィは活動を続けられている。IT技術は信じられない進歩を遂げ、今では事務所がなくなっても何も不自由もなく仕事ができるし、日本中のお客様だけでなくヨーロッパの生産者も一緒にオンラインイベントが開催できる。

城は無くなった。落城した訳ではない。城が無用の長物となったのだ。
しかし寂しい。

出会いと別れ

記念ワイン白を造ってくれたタリさんと、桜ロゼワインを造ってくれたカバニスさんが廃業、干支ワインを造ってくれたボルドーのジャン リュック ピヴァさんが亡くなったことを、前回のブログに記した。みんな創業期からの付き合いで、同世代の仲間だ。オーガニックフェスタには何回も来日してくれたし、生産者訪問ツアーではお客様たちと何回も訪問したので、親しく感じていただける方も少なくないと思う。

マヴィを創業しなければ知り合えなかった多くの素晴らしい生産者達と出会い、そして別れがある。

僕は「商品としてのワイン」には興味がなく、「作品としてのワイン」を求めてきた。作品は人が造るから作者の人間性が、技が、経験が反映する。そして人間である作者には、造れなくる時が訪れるのは必然なのだが、同世代の友が造れなくなるのは何とも侘びしいものだ。

ニューノーマル時代の繋がりへ

zoomでボアソーさんや生産者さん、全国の特約酒販店さんと話しても、誰もが「コロナ禍、COVID-19」の話題から始める。僕も疎開で東京を離れたまま1年近くになる。今後どうなってしまうのか、誰もが不安なのだ。ひとつ確実なのは「もう元には戻れない」ということだろう。

人間の作品である「マヴィのオーガニックワイン」の良さを知ってもらうには、イベントや店頭で直接人と人とが触れ合う中で作品を味わってもらうだけでなく、作者の人間性に親しんでもらうことが大切だと思って走ってきた。しかしもうできない。

そこで長年、赤坂店で開催してきた「田村安のオーガニックワイン入門講座」と連続講座だった「田村安のオーガニックワイン講座地方編」を、23周年を機に今後はzoom利用のオンラインで開催することにした。

オンライン開催で会場の制約がなくなったので連続講座ではなく、気になる産地の講座のみを単発で参加できるようにする。ヨーロッパから生産者本人に登場してもらうことも夢じゃない。
参加費は各回500円、多くのみなさんに「今は訪問できないヨーロッパの産地の風」をお伝えできればと思う。

24年目に入るマヴィは走り方を換えざるを得ないものの、作品としてのオーガニックワインだけを紹介するというポリシーは換えずに走り続けます。今後も皆様にご愛顧いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。