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今日も美味しく、楽しく、気持ちよく――未来につながる日々の暮らし

【第34回】植物と自分に合ったやり方で

徳島・神山町からお届けする、美味しく、楽しく、気持ちよい「未来につながる日々の暮らし」

徳島県神山町に在住の長谷川浩代さん。自然豊かな神山での生活や、ワインと楽しめるおいしい食のことなど…定期的にこのスペースで色々なお話を聞かせて頂きます。今回は、田植え作業の近況レポートとスペイン・バルトラ家の白ワイン、ペネデス持参のピクニック模様もお届けします。[月2回更新]

■状況で変わる田植えの時期

 7月になりました。雨が多く、気温も上がってくるこの時期は、野菜の生育も楽しみですが、同時に草も驚くほど育つので、どううまく付き合っていくかが大切。田畑は手作業で、そして敷地の中は必要に応じて草刈機の力を借りて、早め、早めに対応していくことがコツのようです。

仲間たちが田植えを手伝ってくれました

 6月23日に遅めの田植えを終えました。「遅め」と書きましたが、かつては夏至付近が田植えの時期だったようで、神山町の地元の方とお話しすると、「昔はそれぐらいやったけんなあ」というお返事が返ってくることもしばしば。
そんな神山町、現在はゴールデンウィーク頃から5月末辺りが一般的な田植えの時期のようです(私が目で見たり、聞いたりした限り)。徳島の南部の地域では、温暖な気候のため田植えは春休みに終える、と聞いてびっくりしましたが、子供の頃に高知県などは二期作を行う地域もあると習ったので、気候が合えばそれも可能なのでしょう。

 確かに徳島に越してきた当初は、8月にもなると店先で新米を見かけて驚いたものです。「新米」であるということはお米にとっては大きな付加価値の1つ。人よりも早く新米を出すことができれば、「新米=おいしい、嬉しい」という価値観が刷り込まれている日本人は飛びついてくれるから、売上も上がるのでしょう。そんなことも手伝ってか、周りに合わせる風潮などもあるのか、そしてもちろん温暖化の影響などもあって、神山の田植えはそんなこんなで、かつてと比べて1ヶ月くらい前倒しになってきたようです。

今年はじめてのきゅうりがなりました

■常に自然を観察しつつ、次なるチャレンジを構想中

 米づくりに真面目に取り組むようになって3年目、過去2年間も同じく遅めの田植えだったのですが、これまでのところそれが幸いした場面が多くありました。例えば台風の影響。偶然だし、ただ運がよかっただけかもしれないけれど、田植えが遅くてあまり大きく育っていなかったために、稲が倒れずに済みました(近隣の人はなぎ倒されてしまった箇所多数)。
 また稲刈り後に天日干しするハザ掛けの時期も雨が少ない10月半ば辺りになるので、雨にやられる心配が少なくなりますが、早めに田植えを行うと9月半ば頃が収穫時期になるので、9月の長雨や台風にぶつかることが多くなってしまいます。ただ現在は、機械で稲刈りと同時に脱穀ができ、そのまま機械乾燥で籾摺りまでしてしまうのが一般的なので、そこに関しての心配がなくなったから、工程を前倒しできるようになったとも言えますね。
 なので、各自が採用するやり方に合わせて、植えたり、管理するのが失敗が少ないやり方なんだろうなと思います。まだチャレンジできていないのですが、一度やってみたいことの1つに、稲刈りをした後に、裏作で小麦を植えるというのがあります。その場合、小麦を初冬にまいて、5月末頃が収穫になるので、そのためには遅めの田植えの方が都合がよいのです。

■スペインのワイン農家との共通点

巨大な古木とバルトラさん

 スペインのバルトラさんの家は、代々続くぶどう農家です。一番の特徴は、もはや消えて無くなりそうになっていた「マルヴァジア デ シッジェス」という古代品種を見事に復活させたこと。そこにはきっと過去の文献を紐解いたり、その品種の特徴をよく観察して、どんな育て方をしたら一番そのぶどうが良さを発揮するのかを根気よく研究し続けてこられたに違いありません。
 毎年植え直すお米と果樹であるぶどうを簡単に比較することはできませんが、いろんなやり方を試してやってみる、という点では共通しているんだろうなあと感じています。

こちらも巨大なアーティチョーク

 早くももう5年も前になりますが、バルトラ家にもちょうど6月、オニヴァのメンバーとともに訪れたことがあります。敷地内を方々案内してくださって、ワイン用のぶどうのことはもちろんですが、アーモンド、コルクの木、オリーブ、サボテン、キャロブ豆、アーティチョークなど、ぶどう以外に育てておられるものもたくさん見せてもらって、そのどれもが生き生き、のびのびしていたのがとても印象的でした。日本とは違う、乾燥した地域のなんとも言えない空の青と植物のコントラストが本当に美しかった。キャロブにとても興味を示した私たちのために、奥様がキャロブパウダーを使ってケーキを焼いてくださった上に、パウダーまでお土産でもたせてくださったなあ。
本当によくしていただきました。

奥様が焼いてくれたキャロブケーキ

■ペネデス白とピクニックへGo!

 今日はそんなバルトラさんの白ワインの紹介を…。
 それはある日のピクニックにてお目見えすることとなりました。ちょうど岩手の友人から新鮮な岩牡蠣が届き、ピクニックメンバーの1人がおいしいヒイカ(イカの一種)もあるよと提供してくれたので、それをシメジとともにアヒージョに。

ピクニックの食卓

 私はチキンのモモ肉を炭火で焼いて、ちょうど前日に分けていただいたエゴマの葉を刻み、米油、自家製の柚子胡椒と和えたソースを用意して食べてもらいました。同じく頂き物のビーツはリトアニアやラトビアで食べた、ヨーグルトと合わせた冷たいスープに。別の友達が焼いてきてくれたパンと横にある畑から取ってきたサラダを添えたら、ピクニックとは思えない豪華なランチになりました。

 上述したマルヴァジア デ シッジェスも入ったペネデスは、旨味と余韻が特徴的。しっかり育った岩牡蠣(生も焼いたものも!)やイカの旨味とも、またいい感じでスモークがかかったチキンにエゴマと柚子胡椒というちょっと和風な感じのソースにもよくあって、田植えの疲れも吹っ飛んで最高のピクニックになりました。

スペインにて…サボテンと青い空

(2021.07.07)

長谷川 浩代 プロフィール

京都出身。南フランスの人口130人の小さなコミュニティにあるバイオダイナミック農場民宿での体験から、オーガニックな暮らしを日本に伝えるため、マヴィ株式会社にて12年余りヨーロッパと日本を行き来しつつ過ごす。

2013年8月より徳島・神山町に移住、同12月に友人のカフェビストロ、Café On y va をオープン時から共に運営。

(2020年春より、ビストロはB&B On y va & Experienceに)

現在は農園作業に勤しみつつ、料理の提供、料理教室、執筆などを手掛けている。



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