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今日も美味しく、楽しく、気持ちよく――未来につながる日々の暮らし

【第65回】学び直しの時間

徳島・神山町からお届けする、美味しく、楽しく、気持ちよい「未来につながる日々の暮らし」

徳島県神山町に在住の長谷川浩代さん。自然豊かな神山での生活や、ワインと楽しめるおいしい食の話など…定期的にこのスペースで色々なお話を聞かせて頂きます。今回は最近始めたある生徒さんの大学受験対策のお手伝いについて。教科は何?英文法?もしや数学???読み進めると、なるほどここ数年で増えているAO入試の面接対策のようです。どんなきっかけでも自分自身の考えをまとめて、更に他者に伝わるよう練り上げることはこの先色々な場面で必要になりそうですね。若者の成長にも励まされます。[月2回更新]

■ 高校生の大学受験、面接対策をお手伝い

10月になりました。
台風14号のあと、季節は一変し、いったん夜は寒いほどになり、その後もぐずついた空模様が続いていましたが、10月とともにお天気の日が戻ってきました。畑では、今は順調に実をつけている大豆がこのまま収穫まで無事でいてくれるよう、毎日虫のチェックが欠かせません。昨年は実ったものが全て何かの小動物に食べられてしまったので、今年は入られないようにしっかり対策しているつもりですが、一昨年のようにちゃんと収穫できるまでにはまだしばらくかかります。

去年9月の終わり頃の秋空

9月になって、週2回、本人が高校1年生だった頃から縁のある高校生の大学受験対策のお手伝いをしています。と言っても、いわゆる受験勉強で想像されるような各科目の勉強の家庭教師をしているわけではありません(それだったらきっとできません…)。大学や学部が求める学生像によりふさわしい学生に集まってもらうために、ここ数年でどんどんその割合が増えているAO入試と呼ばれる制度を使って受験する学生の口頭試験、面接に向けてのお手伝いをしています。

大豆、今年は数は少ないけど豊富に実が付いています

具体的には、今日本や世界で起きている社会問題からテーマを取り上げ、それにまつわる記事を3つほど選択し、制限時間の中でその記事の内容を要約し、記事内で述べられている課題やその解決策、その実行によってどんな成果が得られているか、自分だったらどんな対策を考えるかといったことを考えてきてもらいます。そして実際に会う日には面接のように、前述の準備してきた内容を話してもらい、それに対して私がフィードバックするというもの。
もちろん私は実際の面接官ではないし、面接官はそのテーマに詳しい、実際に研究をしておられる教授が担当されることでしょう。だから私のフィードバックで一体どれだけの助けになるのか…とは思うものの、本人にとっては制限時間内に与えられた課題文を読んで要約し、自分なりに社会問題に対する解決策や対策を考える、という練習としてこの場を活用してくれていると思います。

■若い世代の思考力は頼もしい、未来は明るい!

この入試自体がまだ歴史あるものではないだけに、実際に今月実施される入試で同様の問いが問われるかも定かでなく、まして傾向など分析もしようがないので、こちらも課題の文章のテーマ選びには毎回悩みます。そもそも社会問題自体が多すぎて、大きすぎて、どれくらいの規模感のテーマにするのか、世界的にも日本的にも課題がある場合、日本に絞るのか世界的な視点でのテーマにするのか…と、当日よりもテーマ選びにより時間と労力を注ぐ結果になっています。単なる知り合い以上に近しい関係にある高校生に「手伝ってくれませんか?」とお願いされたので、彼女の役に立てるなら、ということで迷うことなく引き受けたわけですが、実際に勉強させてもらっているのは私の方だなという気がしてなりません。

今年は阿波晩茶も仕込んでみました。もうすぐ乾燥してできあがります。

これまで取り上げたテーマは、原発再稼働、30 by 30(生物多様性)、円安、ダイバーシティ&インクルージョン、ジェンダー、人口問題、ベーシックインカム、サステナブルファッションです。いずれも新聞やその他のメディアによく登場する内容で、私もそれなりに知っているつもりではありました。ただ、アップデートが追いついていないというか、こうした社会問題の全てについて、実際問題としてどんなことが起きているか、その問題に対してどんな対策が打たれているのか、どういう立場の人がどんなことを考えているかなど、このテーマ選びをきっかけに学び直しています。
さらに、自分はそれについてどう考え、問題に対処するために実際に動けることは何か?と考える、誰かに話す。

さらには、高校生の思いつく考えにとても豊かなものを感じて、お手伝いさせてくれて本当にありがとう、という気持ちになっています。 これを始めて最初の数回は、「わからないことが多い」「うまくまとまってない」「これでいいのかわからない」といったセリフが多かった彼女も、回を重ねるごとに要領を得てきて、要約もどんどん上手になっています。自分自身も自信がついてきたようで、最初の億劫さや大変さがなくなり、むしろこれ自体楽しいと感じるようになっているようです。そして彼女の最大の良さは、本人なりの考えがしっかりとあること。要約以上に、対策についてあれこれ考えを巡らす姿勢が素晴らしく、こんな人たちが社会に出ていく未来はきっと明るいーーそんな風に思わせてくれる、ありがたい時間を過ごしています。

すだちは今年は不作らしいけど、今年もいい香りで食卓を彩ってくれてます。

(2022.10.05)

長谷川 浩代 プロフィール

京都出身。南フランスの人口130人の小さなコミュニティにあるバイオダイナミック農場民宿での体験から、オーガニックな暮らしを日本に伝えるため、マヴィ株式会社にて12年余りヨーロッパと日本を行き来しつつ過ごす。

2013年8月より徳島・神山町に移住、同12月に友人のカフェビストロ、Café On y va をオープン時から共に運営。

(2020年春より、ビストロはB&B On y va & Experienceに)

現在は農園作業に勤しみつつ、料理の提供、料理教室、執筆などを手掛けている。



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