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今日も美味しく、楽しく、気持ちよく――未来につながる日々の暮らし

【第36回】いつもと違う時間

徳島・神山町からお届けする、美味しく、楽しく、気持ちよい「未来につながる日々の暮らし」

徳島県神山町に在住の長谷川浩代さん。自然豊かな神山での生活や、ワインと楽しめるおいしい食のことなど…定期的にこのスペースで色々なお話を聞かせて頂きます。今回は久しぶりのショートトリップで気分転換したリフレッシュレポートと、この暑さも美味しさをアップ?So2フリーのスパークリングワインに合わせたい、ついついつまんでしまいそうなお手軽、揚げ物レシピも[月2回更新]

■海がみたい…自然からまた別の自然へ

 夏日が続いています。あの土砂降りの毎日で、ずっとじっとりしていた梅雨の時期が懐かしいほどに晴天が続いています。この時を待ってましたというように、SNSで次々とアップされる梅干しの様子。私もご多分に洩れず、塩漬けしていた梅を干しました。あちこちの田んぼでは土用干しと言って、いったん水を抜いて稲の生育を助ける作業が行われたりもしています。

島から島を眺める~素晴らしい風景
こちらはしっかり干し上がった小梅たち

 先日、本当に久しぶりに小さな旅に出ました。瀬戸内の島だから、家から高松港まで車で2時間弱、そこから船で30分余りで到着できます。家からわずか3時間弱の移動ではありますが、そこは山から海へ、また船での移動も手伝って旅感・非日常感は200%。日頃から自然には囲まれているので、求めているのはそれではない。欲していたのは海を見ることと、いつもと違う環境に身を置くこと。
 こちらに引っ越してきてから、ずっとぼんやりと行きたいなあと思っていたのに、行けてなかった場所に行ってみること。偶然このタイミングで瀬戸内の話が出たから、「そう言えば、あれもこれもやってみたかったんだった…」と思いつき、プチトリップを決行しました。

丘の上から自転車で

 車か何かのCMに出てきそうな、丘の上から自転車で駆け下りる坂道。 坂道の向こうは海で、美しい青空とともに思わず「わー!」っと声が出ます。翻って、美術館の中はただただ静寂とともにある時間。訪れた人が思い思いに床に座ったり、寝転んだりして、その静けさと景色、そしてきっと自分の心の動きを味わい、感じています。
 あの空間が記憶から離れることはないでしょう。自分の中にいくつか心の泉と呼べるような場所(静かに目を閉じて、呼吸を楽にして思い浮かべれば、枯れていた自分の心にまた水がこんこんと湧いてくると思える場所や風景を密かにそう呼んでます)があるけれど、そこもまたそれになり得るような、そんな気持ちになれるところでした。

■場所や過ごし方を変えると日常がより鮮やかに

海の横のレストランで、美味しい薪窯ピザをほおばる

 最近乗り換えた、まだ愛車と呼べるほどの間柄にもなっていない小さな車との初のロングドライブは快適で、この旅で一気に親密になれた気分。帰り道はGoogle Mapの言う通りに早く帰れる道を選んだら、走っている間中、物の見事に1台もすれ違うことのない(すれ違うことになったらなったで大変なくらい細い!)本当に寂しい山道。暗いし、狭いし、ついさっきまであんなに燦々と太陽溢れる島から海を眺めていたのは幻だったのか…というくらいの道で、何度も「怖い…」とつぶやいてしまったほど。
 「ここから神山町」という看板が出てきたときどれだけホッとして、嬉しかったことか。けれども、その看板が出てからも見慣れた道に出るまでにはまだ相当あって、「うわー、一体どこを走っているんだろう?」とドキドキが続いていました。そもそも何かあっても助けに来てもらいづらいし、昼間はともかく、夜はこの道はやめておこう、、、と固く誓って、無事にショートトリップは終了。

 一面の青い海も、船に乗ったことも、あのねっとりとした潮風も、初めて乗った電動アシスト付き自転車も(あんなに楽だなんて、びっくりです)、欲しいものがすっと手に入らない島の不便さも、海から突然ピシャッと跳ね上がってくる魚も、丘の上に現れる洞窟も、あの美術館の静けさも、そして帰り道の怖い山道も…。とにかく全てが非日常で、いつもの生活に戻った今、ひとつひとつの場面がちょっと遠いところに行ってしまって、本当に体験したのだろうかと感じるような、不思議な感覚にとらわれます。
 いつもと違う何かが欲しくて人は旅に出るのだろうし、いつもと違う時間を過ごすことで、いつもの時間や場所がより愛おしく思えるのかもしれません

夕焼け

■SO2フリーのスパークリングで仲間とお祝い

 非日常と言えば、スパークリングワインも非日常ですね。(あ、日常の方もいらっしゃるかも…。私にとっては、スパークリングはやはりハレの日のワイン!)仲良しグループのお誕生日が夏に集中しているので、このシーズンはスパークリングワインにお目にかかれることが多いのです。
 先日はアシャールさんのSO2フリーのクレマン ド ディでお祝いの乾杯を。外気温が高くなってきたのも手伝って、力強い泡立ちで幅広いお料理に活躍してくれそうな1本です。私は気軽に準備できる前菜ということで、モッツァレラチーズを1.5cmくらいの厚さに切り、真ん中に切り込みを入れトマト、バジルを挟んでフライにしました。
 チーズが溶けて、形が難しくなるので、衣は小麦粉を水か牛乳で溶いたものを満遍なくつけ、そこにパン粉をまぶしてフライにしましょう。トマトを入れずにバジルを別のハーブに変えても違った味わいに。
 しっかりとしたスパークリングと揚げ物、チーズと香り高いハーブがよいハーモニーで混じり合います。

可愛いお花も加わって、乾杯!

(2021.08.04)

長谷川 浩代 プロフィール

京都出身。南フランスの人口130人の小さなコミュニティにあるバイオダイナミック農場民宿での体験から、オーガニックな暮らしを日本に伝えるため、マヴィ株式会社にて12年余りヨーロッパと日本を行き来しつつ過ごす。

2013年8月より徳島・神山町に移住、同12月に友人のカフェビストロ、Café On y va をオープン時から共に運営。

(2020年春より、ビストロはB&B On y va & Experienceに)

現在は農園作業に勤しみつつ、料理の提供、料理教室、執筆などを手掛けている。



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