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今日も美味しく、楽しく、気持ちよく――未来につながる日々の暮らし

【第20回】「便利と本能」

徳島・神山町からお届けする、美味しく、楽しく、気持ちよい「未来につながる日々の暮らし」

徳島県神山町に在住の長谷川浩代さん。自然豊かな神山での生活や、ワインと楽しめるおいしい食のことなど…定期的にこのスペースで色々なお話を聞かせて頂きます。今回は人間の生物としての力を再考し感じる事とご褒美ワイン、シャンパーニュに合わせるアスピックのご紹介です。[月2回更新]

■世の中の出来事と人の生活

 いよいよ12月。季節が巡っても新型コロナウイルスが世界を支配し続けた、きっと誰にとっても大なり小なりこれまでの「日常」や「当たり前」が覆された特殊な1年だった2020年もあとひと月を切りました。寒さ、乾燥等により第一波よりも感染が広まっていて、ヨーロッパなどはまた深刻な事態になっています。風邪やインフルエンザと同様、まずは自身の免疫力を高め体調管理に気をつけて、ちょっとおかしいなとか疲れているなと思ったらどうぞ無理をせず休息してくださいね。

干し柿をつくっています

 今私が住んでいる徳島県のお隣香川県や九州の宮崎県で、鶏インフルエンザの感染が広まっていて、何十万という数の鶏が殺処分されているというニュースにやり切れない思いで過ごしています。狭く窮屈な空間で、条件が劣悪な場合は窓さえもない場所で飼育するそのやり方を変えない限り、同じことが繰り返されるばかりです。衛生状況を改善したり、投薬の量や機会を増やしたりするという対処法はその場はやり過ごせたとしても、問題解決になっていないことは誰の目にも明らかでしょう。
 何事もそうですが根本の原因を突き詰めてそこを変えていく取り組みをしなければ、この悲しい事態はまたどこかで起きてしまう。果たしてウイルスが広まったり、感染してしまうのは運が悪かったで片付けることなのでしょうか。あるいは広まらないように行き来や交流をストップさせることで問題は解決するのでしょうか?ウイルス自体は存在するものなのだからこの地球の中では共存するしかなく、ならば広まりにくい環境を整えたり(一時的なロックダウンのようなその場しのぎのやり方ではなく)、体内に入ってきたとしても猛威を振るわれないような免疫力の高い体でいられるように備えることが本当に必要なことではないのだろうかと思います。
【 参考 】ちょうどこんなことを考えていた時に教えてもらって読んだ研究者の方の論考。長いので時間がない方は、「1.4. 表土の仕組み」だけでもぜひ読んでみてください。

■人間の本能は劣化?変化?

 神山町に引っ越してきて、自然に囲まれた暮らしが始まった訳ですが、正直なところこれまでの7年間は本当の意味で土や動植物、自然とともに生活していたわけではなかったということを今年になって痛感しています。言わば住む場所は変わったけれど働き方は都市にいた頃と大きく変わっていなかったのです。2020年、このコロナウイルスの騒ぎでいったん飲食業をストップして、田畑を中心の生活に切り替えたおかげでこれまで見えていなかったもの、感じて来なかったことを日々少しずつ受け止められるようになった気がします。目に入ってくるもの、耳に聞こえてくるもの、五感が捉える情報が明らかに変わってきました。

玉ねぎを植えました。大きく育ちますように…

 動物も植物も誰に教えられたわけでもないのに、敵や夏の暑さ、冬の寒さから身を守るすべを知っています。夏毛や冬毛に生え変わったり、樹液を吸い上げたり下ろしたり。時期が来たら花を咲かせて、遠くにタネを運んで、太陽の動きに体を合わせて。DNAに刻まれた本能がきちんと働いているのです。脳が高度に発達している人間は、長い歴史の中で素晴らしい機械や道具、方法などを発明してきました。それこそ海底から宇宙まで、どこまでも探求しさまざまな不思議を解明してきました。生活はどんどん便利になり、豊かになっているように思えるけれど、その反面人間が本来もっている本能をどんどん失っているのではないかという気もするのです。

田を起こしました。来年の豊作に向けて準備です

 ここ最近のことだけを考えても、パーソナルコンピュータやインターネットのおかげで、自分自身で字を書くこともめっきり減ったし、計算も電卓やPC、便利なアプリが代わりにしてくれますし、調べたら秒速で答えが返ってくるから記憶する必要もありません。年齢のことを差し引いても、いろんな能力が退化しているんだろうなと思えます。それが時代の流れで、人間としての進化なのだと言ってしまえばそれまでですが、自分の体が出しているサインにも気づけなくなっている人が多いのも事実。少なくとも自分にとっての居心地の良さやどうすれば心身ともに健やかにいられるのかということは、生物としてきちんと感じ取れる能力を失わずにいたいですね。

■ホームパーティにとっておきのシャンパーニュで乾杯♪

 今年はこんな状況なので、年末年始もお家で過ごされることがきっと多いでしょう。家族とともにちょっと豪華に過ごすにはやはりシャンパーニュは欠かせませんね。日頃はスパークリングワインで手軽に済ますとしても、ここ1番というとき、大切なお祝いの場面ではシャンパーニュを開けたいもの。
 マヴィのシャンパーニュと言えばブリアールさんで、私も取引を始める際に訪問させてもらった日の記憶が今でも鮮やかに残っているくらい鮮烈な印象がありますが、今回紹介させてもらうのはもう1軒お取引しているミシェル家のシャンパーニュ。私はまだ訪問したことがないのですが、随所にこだわりを見せる造りでぜひゆっくり会ってお話ししてみたいなと思っています。
 現在入手できるのは2011年収穫のぶどうで造られ、2018年にデゴルジュマン(瓶口に溜めた澱を栓ごと飛ばすこと。これの後、新たな栓をつけ、ラベルを貼ったりして出荷OKの状態になります)をしたもの。9年ものです!味わいにも大いにその風格が感じられます。今回はそんなパーティ気分を盛り上げるのにぴったりなアスピック(ゼリー寄せ)を作ってみました。見た目は華やかですが簡単にできるのでぜひ作ってみてくださいね。

奥のパンも自家製、乾杯が楽しみな食卓

 彩りを考えたお好きな野菜(今回はアボカド、パプリカ、ブロッコリー、トマト)は必要な下処理をして、一口大にカットしておきます。
 鶏ガラでスープを取るか、市販のガラスープや野菜のブイヨンを使って透明のスープを作り、必要な分量のゼラチンを溶かしてゼリー液を作ります。
※固めだと綺麗に固まりますが、緩めにすると食感が良くなります。
 スモークサーモンやホタテの貝柱、エビやタコ、いくら、ゆで卵、茹で鶏などこちらもお好きな具材を用意します。
 ガラスなどの入れ物にゼリー液を少し注ぎ冷やしてある程度固め、その後は具材を入れてゼリー液を入れて固めていきます。決まった位置に具材を落ち着かせたいときは面倒ですが都度ゼリー液を入れて固めてから次の具材を載せるようにすると綺麗に仕上がりますよ。
 一人分ずつ器に入れずに、大皿に野菜や魚貝などを盛り付けてゼリー液を細かく砕いて散らすのもまた違った趣になります。

おまけ:シャンパーニュには白カビが鉄板。 ブリ―とりんご&くるみは合わないワケが無い!

(2020.12.09)

長谷川 浩代 プロフィール

京都出身。南フランスの人口130人の小さなコミュニティにあるバイオダイナミック農場民宿での体験から、オーガニックな暮らしを日本に伝えるため、マヴィ株式会社にて12年余りヨーロッパと日本を行き来しつつ過ごす。

2013年8月より徳島・神山町に移住、同12月に友人のカフェビストロ、Café On y va をオープン時から共に運営。

(2020年春より、ビストロはB&B On y va & Experienceに)

現在は農園作業に勤しみつつ、料理の提供、料理教室、執筆などを手掛けている。



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