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今日も美味しく、楽しく、気持ちよく――未来につながる日々の暮らし

【第58回】小さな命との日々

徳島・神山町からお届けする、美味しく、楽しく、気持ちよい「未来につながる日々の暮らし」

徳島県神山町に在住の長谷川浩代さん。自然豊かな神山での生活や、ワインと楽しめるおいしい食のことなど…定期的にこのスペースで色々なお話を聞かせて頂きます。今回は、続ひよこ成長レポートを中心にお届けします。毎日が新しいことの出会いであろう雛たちは、誰に教わるでもなく命を燃やして生きているようです。生きていることは当たり前ではなく、偶然が重なりあって存在し、循環しているのだと小さな可愛らしい命が教えてくれます。また、ジメジメを和らげる爽快なアルザスの白ワインにぴったり!野菜たっぷりサラダタルトのご紹介も。[月2回更新]

■ひよこたちの成長レポート

今年は関東の方が先に梅雨入りしましたね。今週の空模様を見る限り、ここ神山もどっぷり梅雨に入った感じです。去年驚くほどたわわに実った枇杷は今年はどこも不作気味で、私たちの大きな木にもほんの少ししか実っていません。ご近所さんがとっていいよと言ってくださった梅は豊作に見えたけれど、全体的にはそこまでではないのだとか。神山の特産物であるすだちも今年は既に不作がわかっているので困っているという話をよく耳にします。
木に実る果物は年によって実りに大きな違いがあって、それを専門にされている農家さんも多いので心穏やかではありません。

ぷくぷくと可愛らしい小さな命たち

さて、前回ご紹介したひよこたち。

早いもので誕生してもう3週間ほどになります。ひよこの成長は目を見張るものがあり、本当に日に日に大きくなっていきます。特に羽の変化が大きくて、生まれたばかりの頃はごく小さな羽を、肩甲骨をキュッと寄せるように持ち上げる仕草がなんともかわいいのですが、数日すると少しずつ羽の先が目に見えるようになってきて、羽とそしてその羽と同じ側の足をめいいっぱい伸ばして、まるで人間が屈伸で足をうんと伸ばすようにストレッチする姿をよく見かけるようになります。今回生まれた子たちは、親である雄鶏も雌鳥も実に複雑な模様があって、色合いもそれぞれに美しい鶏たちなので、その血を引き継いでいるひよこたちも全員少しずつ違う模様の羽が伸びてきて、これから先もどんな風に育っていくのかとても楽しみです。

この初夏に初めて母になった母鶏も、誰に教えられたわけでもないのに、ひよこたちにあれこれ見せて教えている姿がなんとも微笑ましい。今でもお母さんが小屋に入るとひよこたちも一斉に小屋に入って、全員がお母さんのお腹の下や羽の下に潜り、顔だけちょこっと出して様子をうかがっています。かと思えば、小さな体で小屋中駆け回って、小さな丘を越え、谷に潜り、お母さんの背中に乗ってジャンプして自分の身長の7-8倍はありそうな丸太の上に登ってみたりと、本当に元気いっぱいで一度様子を見始めるとあっという間に時間が過ぎ去っていきます。

お母さんのお腹の下に潜ってる様子。確実に大きくなってるのがわかりますね。

こんなに力強い、生命力の塊のような彼らですが、悲しいこともありました。

母鶏は小さな体で、全部で15個の卵を抱いていました。うち3個は孵ることなく、卵のまま終わりました。いずれも有精卵で体も形成されていたのですが、ひよことなって生まれてくるところまで成長できなかったようです。残りの12羽は無事この世に生まれて来ましたが、そのうち4羽は生まれて1-2日の間に亡くなってしまいました。いずれも最後の方に生まれたものだったと思われます。

数日しかずれはないのですが、成長が著しいので、やはり後から孵化した子は他の子よりも小さくひ弱なため動きについていけなかったか、寒いと感じていても母鶏のお腹の下にちゃんと入り込めなかったり、場合によってはつぶされたりしてしまったのかもしれません。ひよこは、ツバメと違って、生まれてすぐでも誰に教えられることもなく自分で地面をつつき、草を齧ったりして餌を食べ、水も飲みます。母鶏は「これはご飯だよ。この葉っぱも食べられるよ。」というような仕草でひよこたちに食べてみせたりはしますが、それがなくとも自ら食べ始めるので本当にすごいと思います。最後に死んだ子は、何かを求めてぴーぴーと大きな声で鳴くものの、目の前に餌があっても食べようとしませんでした。小さな体だから、ちょっとしたことも致命的になってしまうのでしょう。

稲の苗もちょっと動物に荒らされたりしつつも、順調に育っています

次々と誕生して成長していくひよこたちの愛らしさと母鶏の頑張りに、毎日感動し続けていますが、その一方で命はこんなにも弱く、儚いものなのだということも目の当たりにしました。この世に生まれてくることも、生き続けることも奇跡で、今ここにあること、ここまで繋がって今も続いている命の連鎖と循環に、生きとし生けるものはただ生かされているのだなとそんな想いが脳裏をかすめ、感謝の気持ちが自ずと湧いてきます。

■ヘルシーなサラダタルトにアルザスの白ワイン、エデルツヴィッカーを

じめっとした天気の日は、スッキリ爽やかな気分になれるものが欲しくなりますね。そんな時、私はアルザスの白によくお世話になります。リースリングやピノグリのような、お肉にも負けないしっかりしたものももちろん美味しいのだけれど、さらに軽やかで香高く、清々しい気分になれるもの。ミュスカやエデルツヴィッカーなどがそれにあたります。

今日はエデルツヴィッカーに合わせて、見た目にも爽やかで気分が華やかになるタルトを作りました。数年前からフランス料理の雑誌やサイトなどで目にするようになっていたもので、その美しさに一度作ってみようと思ってやってみたら、手軽で見栄えがするのでこの春は何度も作りました。

空焼きにしたタルト生地に、フランスではシェーヴルなどのフレッシュチーズをベースにするのですが、私はその代わりに水をよく切った豆腐(徳島県は元々そうした水分の少ない豆腐が主流なので、重宝しています)をミキサーにかけ、そこにオリーブオイル、塩、ニンニクをすりおろしたものを加えて味を整えた豆腐クリームを載せます。
その上には、春の緑の野菜をいろいろ揃えます。グリーンピース、空豆、これからなら枝豆もいいですね。アスパラガス、ブロッコリー、スプラウトや豆苗、きゅうりやズッキーニをピーラーで長く薄くスライスしてもきれいです。新玉ねぎの輪切りもアクセントに。お好みで散らしていって、最後に軽くオリーブオイルと黒胡椒を引いたらできあがり。
このサラダタルトは見た目に美しく、食べてもお豆腐とお野菜でとてもヘルシーなのに満足感もあって、わーっと歓声の上がるひと品です。

目にも鮮やかな綺麗なグリーン色の野菜がたっぷり、サラダタルト

白ワイン

フランス・アルザスのオーガニックワイン

アルザス エデルツヴィッカー 白

創業1620年で1960年代からビオディナミ農法のメイエー家が造る高貴品種ブレンドワイン。コストパーフォマンス抜群のオーガニックワインです。

(2020.06.22)

長谷川 浩代 プロフィール

京都出身。南フランスの人口130人の小さなコミュニティにあるバイオダイナミック農場民宿での体験から、オーガニックな暮らしを日本に伝えるため、マヴィ株式会社にて12年余りヨーロッパと日本を行き来しつつ過ごす。

2013年8月より徳島・神山町に移住、同12月に友人のカフェビストロ、Café On y va をオープン時から共に運営。

(2020年春より、ビストロはB&B On y va & Experienceに)

現在は農園作業に勤しみつつ、料理の提供、料理教室、執筆などを手掛けている。



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