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今日も美味しく、楽しく、気持ちよく――未来につながる日々の暮らし

【第32回】旅に想いを馳せて

徳島・神山町からお届けする、美味しく、楽しく、気持ちよい「未来につながる日々の暮らし」

徳島県神山町に在住し、人気のビストロ「カフェ オニヴァ」改めB&B On y va & Experienceにて体験講座を担当したり農園作業に勤む長谷川浩代さん。自然豊かな神山での生活や、ワインと楽しめるおいしい食のことなど…定期的にこのスペースで色々なお話を聞かせて頂きます。今回は自由に行き来できる喜び--旅についての思い出とその当時初めて美味しいと思えた赤ワイン、キャンティを懐かしみながら、今のマヴィのキャンティに舌鼓♪[月2回更新]

■田植え準備に梅仕事~やること沢山!

 梅雨入りしてから、しばらく快晴の爽やかな天気が続いていましたが本日は雨模様。少しずつ本格的な梅雨空になっていくのでしょう。先日は例年より早く収穫された小梅で梅干しを漬けてみました。晴れ間を見つけて干したら完成です。昨年同様、田植えは6月なかば以降になりそうで、今は水を溜めながら代掻きなど田植えの準備中。種もみから芽が出て、稲の苗もすくすく成長しています。

今年も田んぼ、頑張ります
発芽したばかりのお米
こちらは赤紫蘇を追加した梅干しです

 先日、旅のお誘いの電話がありました。と言っても、今はこの状況なので1年先の話です。1年先はきっと良い状態になっていると信じて、ぜひ行きましょうとお返事しました。1998年にフランスに長期滞在してからは、ほとんど毎年のように訪れていて、それに付随してあちこち旅行したりもしていたので、これだけ長い期間、国内さえも移動しないことはなかなかないことで、不思議な気持ちさえします。
 でもそれはそれで、やることいっぱい、発見に満ちた毎日なのでもちろん飽きることもなく楽しく過ごしていますが、やはり旅は旅でよいもの。遠くにいる友人たちや、大好きな風景、そしてまだ見ぬ風景に想いを馳せていろいろ考えたり、思い出してしまいました。

■やっぱり旅は、得難い体験の宝庫

 初めての海外旅行は1990年にスペインへ。正確には、タイ航空を使って出発し、タイで乗り換えようと思ったら、タイからスペインに飛ぶ便が大幅に遅れているとのこと。予期せぬタイでの1泊が初めての海外となりました。当時は日本へ連絡するにも、国際電話をかける為には電話をかけられる場所を探すところから。費用の面でもそれなりに大変でした。もちろんメールなんてありません。せっせと手紙や絵葉書を送ったことを覚えています。

 その旅は、スペインで5週間と旅の最後に寝台特急で移動して花の都パリへ。それをかわきりに、友人の結婚式と会社の旅行でハワイに行ったり、時々香港、ベトナム等のアジアの国をちょこっと挟んだ以外は、ほとんどヨーロッパの国々を訪れています。もちろん日数と回数で言えば人生が完全に変わるような経験と第2の家族と言えるほどの人たちと出会えたフランスがダントツです。
 でもその時々のご縁や関心の赴くままに旅を重ねて、今数えてみたら全部で24カ国(うちヨーロッパ17カ国)を訪ねていました。

 振り返ってみると、いわゆる観光の旅は少なくて、現地にいる知り合いを訪ねていることが圧倒的に多いことに気づきました。それはもちろんマヴィの生産者さんのところに行くなど、仕事も理由の1つです。ただそれ以外にも現地で知り合いになった人を訪ねたり、日本から各地に住むことになった友人たちを訪ねる旅であったり。

 大学時代一緒にスペイン語を学んでいた仲良しの1人が卒業後すぐに旅立った先はなぜかイタリア。現地で語学を学びアルバイトなどをしているうちに知り合った、イタリア在住の日本人と結婚することになりました。結婚式に出席するという理由で大学時代の友だち2人とともに、イタリア旅行を決行。
 結婚する友人はフィレンツェに住んでいたので、ローマとフィレンツェを訪れました。お酒が大好きでよく飲める2人とアルコールは弱くて、甘いやつならね、という程度の当時の私。(フランスに長期滞在して、マヴィで働くようになって徐々に鍛えられましたが、今でも1滴飲んでも真っ赤になるほどです)

結婚した友人からの手紙の切手

 ワインが飲みたい、という2人に「白なら飲めるよー」と答えて、最初の数日は友人たちも白ワインのボトルを頼んで満足してくれていました。けれど、3日目くらいにもなってくると「赤が飲みたい」という話になり、それまで赤ワインを美味しいと思ったことのなかった私も、どうせたくさん飲めるわけじゃないから、2人の好きにしていいよと、その日の晩は赤ワインを頼んだのでした。
 メニューを見て、名前を知っていたキャンティを頼んだことはよく覚えています。
 なぜなら、それが私がワインに目覚めたボトルだったから。ワインって、赤ワインっておいしい!!!と心から思えたワインだったから(とは言え、ラベルの写真撮ったりとか、生産者の名前見たりとかしたわけじゃなかったですけど…まさか、その時は数年後にワインの会社で働くなんて思ってもみなかった頃ですから)。

その時の旅を帰ってからまとめ。こういうコラージュ作り、大好きです。

 そのレストランでは、忘れもしない「ピッコロ(小さいよ)」と言われたのに、大皿一面にメロンと生ハムが敷き詰められたような生ハムメロンを1人ひと皿ずつ(だってピッコロって言われたから!)とTボーンステーキとともに初めておいしく感じた赤ワインを堪能しました。正直なところ、おいしいと思ったけど、どんな味わいだったかは覚えていません。でもキャンティと聞くとこの記憶が蘇ってきて、ちょっと飲みたくなってしまうのですが日本に帰ってからはこれ、といったものに出合えずにいました。まあキャンティは日常にいつもあって、幅広いお料理と合ってくれるタイプのものだから、ワイン単体では目立たなくても普通なのかもしれません。

■料理を引き立てる優しいキャンティ

 なので、マヴィでキャンティの取り扱いが始まった時は少し驚き、どんなのがやってくるのかなと期待がありました。渋みが穏やかで、軽やか、香りも心地よく食卓で優しく微笑んでいるようなワインですね。
 私もあの日を思い出すかのような生ハムメロン、キャベツの蒸し煮、そして友人が作ってくれたイノシシ肉のラグー(普通に牛肉や合挽き肉などでもおいしいです)のパスタといろいろ合わせてみました。単体でもおいしいけれど、いろんなものがおいしくなるので、気負わずさまざまな料理と試してみてほしいなと思います。

生ハムメロン――ピッコロ(小さい!)と言われた生ハムメロンはこれくらいの量にメロンが見えないくらいの生ハムが載っていました

キャベツの蒸し煮:フライパンにオリーブオイルを入れ、粗く刻んだニンニクを炒めます。そこに適当な大きさにちぎったキャベツを入れて軽く炒め、塩と砂糖を少々入れてさらに炒めたのち、蓋をして少しキャベツと砂糖の糖分が焦げてキャラメライズするくらいに蒸し煮にし、最後にたっぷりのパルメジャーノを振りかけてできあがり。

キャベツの蒸し煮とキャンティ

(2021.06.09)

長谷川 浩代 プロフィール:
京都出身。南フランスの人口130人の小さなコミュニティにあるバイオダイナミック農場民宿での体験から、オーガニックな暮らしを日本に伝えるため、マヴィ株式会社にて12年余りヨーロッパと日本を行き来しつつ過ごす。2013年8月より徳島・神山町に移住、同12月にカフェビストロ、Café On y va をオープン。現在はビストロからB&B On y va & Experienceに改め、体験講座を担当したり農園作業に勤しんでいる。食だけではない、楽しくて面白くて気持ちのいい空間と時間を創造すべく、仲間たちと日々活動中。 

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