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今日も美味しく、楽しく、気持ちよく――未来につながる日々の暮らし

【第27回】発酵は楽しい!

徳島・神山町からお届けする、美味しく、楽しく、気持ちよい「未来につながる日々の暮らし」

徳島徳島県神山町に在住の長谷川浩代さん。自然豊かな神山での生活や、ワインと楽しめるおいしい食のことなど…定期的にこのスペースで色々なお話を聞かせて頂きます。今回はこれがないとワインにもなり得ない「発酵」について。実際に色々作ってみることで奥深さに魅了されます![月2回更新]

■酵母が旅して、また人手に渡る

 今年も桜の季節になりました。神山の春は、とにかく美しい。気づいたらあそこにも、ここにも、といろんな種類の花が咲き始めて、この3月の終わりから4月頭にかけての桜で町中が艶やかな姿に変貌します。日本を長期離れた時、一番恋しいと思ったのは、自分でも驚いたけれど桜でした。神山町に引っ越すときには、この桜のことは知らなかったのですが、これは思いがけない嬉しいサプライズでした。

神山の見事な桜

 ワインはぶどう果汁が発酵してできるお酒ですが、私もいろいろ自家製の発酵食品を楽しんでいます。1つめは天然酵母のパン。
 オニヴァではずっと、もともと干しぶどうから起こした酵母に小麦粉を足し続けてきた酵母を使ってパンを焼いていました。マヴィのワイン農家さんを訪ねるような長期の研修旅行の際は、ビンに入れてヨーロッパまで連れて行き、途中途中で小麦粉を足したり、実際にパンを焼かせてもらったり。酵母を分けてほしいと言われて、分けて置いてきた家もあるので、ここ神山町で生まれたパン酵母が今でもフランスのどこかで継がれているかもしれません。

天然酵母でバゲット

 最近はりんご果汁の酵母もずっと継いでいて(これはりんごジュースを足すことでスパークリングりんごジュースが常にお家にある状態)、こちらパンの発酵を促すのにもよいので、最近家ではこれを元に小麦で継いだ酵母で焼いています。

 もう1つはヨーグルト。こちらは友人のお母さんが分けてくださったもので、こちらもたくさんの人の元に旅立って行った=種があちこちに散らばったので、万一全部食べてしまったり、ちょっと状態が芳しくない?と思ったときでも安心です。神山に来て以来、ずっと続いています。この子たちも同じくフランスを旅しました。
 面白かったのが、日本では牛乳といえば、低脂肪乳などを選ばない限りあまり大差はないのですが、フランスでは牛乳によって驚くくらい違う結果になり、日頃日本で食べているような状態にあまりならなくて、菌たちも驚きっぱなしだったんだろうなと思います。こちらも同じく分けて!と言われ、確かベリュウさんゴダンさんのお家には置いてきたはずです。

もちろん、チーズも発酵食品

■初挑戦のキムチ、ぬか漬けに開眼

 ここ何年か定番になってきたのがお味噌。味噌は正直なぜこれまで作ってこなかったんだろう?なぜ、みんな作るのをやめちゃったの?と思うくらい、本当に簡単で、仕込んだ後はほとんど何もせずに置いておくだけなのに、1年後にはおいしいお味噌になってくれる優れものです。
 過去2回は神山の大豆で、その内1回は麹も神山の友達が作ってくれたものを使うことができて大満足でした。今年は自分たちの作った大豆でお味噌に仕込みたいところ。去年黒豆はうまくいったので、今年は普通の大豆もたくさん作りたいなと思っています。

 先日はキムチ作りにも初挑戦しました。こちらも拍子抜けするくらい簡単にできて、とてもおいしい。今回はご近所さんからいただいた白菜で漬けましたが、次回は自分たちが育てた白菜でできるとよいなあ。(冬野菜は、植えるタイミングが遅かったからか、ことごとく小さいままに終わってしまいました・悲)

手作りキムチ

 これだけ発酵ものをあれこれ楽しんでいる私ですが、これまで手を出してこなかったのがぬか漬け。それはただ単純にお漬物にあまり興味がなかったからです。でも実は最近、長期家を離れることになった友人のぬか床を預かることになり、初めてのぬか床との暮らしを味わっています。
 これがこれまでの私のぬか漬けに対するイメージを180度ひっくり返すほどのおいしさ。とりあえず手元にあった大根でも漬けるか…とぬか床に入れて1日。これがおいしすぎて、小ぶりだったとはいえ、1食で大根半分食べてしまいました。残り半分もすぐになくなり、これは私も自身のぬか床を育てる気がむくむくと湧いています。野菜が生のまま発酵しているので、野菜を摂取する状態としてはすごくいい。しかも私たちが育てたお米のぬかでできるし、夏には畑でいっぱいなったきゅうりやナスでできたら最高だなあと想像しながらニンマリしています。

絶好調のぬか漬け

■お茶づくりも発酵が決め手

 発酵といえば紅茶も発酵させて作ります。去年は初めて茶葉を摘んで紅茶を作ってみることもやってみました。セイロンやウバみたいなああいう紅茶にはならなかったのですが、優しい香り高い紅茶には仕上がり、こちらもまた今年もチャレンジしたいことの1つ。紅茶よりももっと発酵時間の短いウーロン茶もやってみようかなと思っています。徳島名産の、夏に発酵させて作る阿波番茶も友人の茶畑で茶摘みから始めて一緒にやらせてもらいました。こちらは茶葉を茹でて、1ヶ月発酵させる本格派。飲むときも独特の味と香りですが、これもとてもおいしいお茶の1つです。

 アンチョビもやってみたことがあったなあ。手間はかかるけれど、なんでも自分でやってみると工程も知ることができて、感謝の気持ちも湧くし、何より楽しいのでおすすめです。みなさんも何か育てているものはありますか?

生ハムもサラミも発酵食品です@スペインにて

(2021.03.24)

長谷川 浩代 プロフィール

京都出身。南フランスの人口130人の小さなコミュニティにあるバイオダイナミック農場民宿での体験から、オーガニックな暮らしを日本に伝えるため、マヴィ株式会社にて12年余りヨーロッパと日本を行き来しつつ過ごす。

2013年8月より徳島・神山町に移住、同12月に友人のカフェビストロ、Café On y va をオープン時から共に運営。

(2020年春より、ビストロはB&B On y va & Experienceに)

現在は農園作業に勤しみつつ、料理の提供、料理教室、執筆などを手掛けている。



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