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今日も美味しく、楽しく、気持ちよく――未来につながる日々の暮らし

【第55回】いい感じです

徳島・神山町からお届けする、美味しく、楽しく、気持ちよい「未来につながる日々の暮らし」

徳島県神山町に在住の長谷川浩代さん。自然豊かな神山での生活や、ワインと楽しめるおいしい食のことなど…定期的にこのスペースで色々なお話を聞かせて頂きます。今回は生活のリズムの話。24時間、どのように使っても1日は1日。詰込み派もいれば、のんびり派もいますね。年齢、時期的な部分でも生活リズムは本当に人それぞれ。そんな中、ちょっと最近は良いリズム感なのでは…と気づいてその理由を考えてくれました。[月2回更新]

■生活のリズムが整う気持ちよさ

4月はいつの間に過ぎ去ったんでしょう?
桜の花以外の記憶があまりないうちに、ゴールデンウィークとともに5月に突入、そして日々が流れていきます。この春は外に出るたびに、ずっと「山笑う」という言葉が頭を去来していました。本当にうまく言ったものです。それ以外に表現しようがないほどの毎日の山の変化。春の山は本当に動きがあって、あちらもこちらもくすくす笑っているようで、森を構成している木々が多様な場所、そうでない場所、ポツンと山桜が咲いている場所、などが春になるととてもわかりやすくなります。

山が笑っているのが分かりますか?

新年度に入ってからの大型連休で、ようやく緊張感が解けた人もおられるのではないでしょうか。意識してなくとも、きっと肩の荷を下ろして、ほっと深呼吸して、この1ヶ月を振り返ったりした方も多いでしょう。私は冒頭にも書いた通り、「いったいいつの間に過ぎ去ったんだろう?」と思ったくらいなので、また慌ただしく過ごしてはいたのですが、それでもここ最近は少しリズム感が出てきたというか、整ってきた感があります。

こんなことを改めて思うのも、実は先日近所のお店に行って支払いをしているときに、お店の人から「最近どうですか?忙しいですか?」と挨拶がわりに聞かれた言葉に対して、「いい感じです!そう、忙しすぎるわけでもなくて…うん、いい感じです!」と咄嗟に答えた自分がいたからです。その時もその後農園に行く用事があったので、そのまま店を出てすぐ車に乗って走り出したのですが、「いい感じ、確かにいい感じだよな」と反芻している自分がいました。

ぴちぴちと泳ぎだしそうな美しいピンク色の鯛はお客様のおもてなし用に手に入れました。

なんでそんな風に思ったんだろう?私にとって、どういう状況がいい感じなんだろう?そうじゃない時と比較して、何が違うんだろう?基本、日々ご機嫌さんに過ごしている方だと思いますが、そんな私が思わず「いい感じ!」と口に出したくらいなので、自分のことながらとても気になりました。
それを自覚することができれば、日々の、1年の、さらには人生の「いい感じ率」を少なくとも自分がコントロールできる範囲では増やすことができますよね。

まず1つには、日頃やりたいやりたいと思いながら、なかなか手がつけられていないこと、あるいは近いうちにあれしよう、と思っていることがスムーズに着々と片付けられると気持ちのスッキリ度や自分への満足度がとても上がります。あと、キッチンやリビングなどがごちゃごちゃせず、物が少なくて(つまり、あるべき場所に片付いて)きれいに整っていることも大切。
私の場合、ちょっと気を抜く(=時間がない、忙しい)とカオスはいとも簡単に生み出されてしまうので…。
仕事もきっちりやって、農園の作業も少しずつとはいえ毎日何らかの手をかけて、友人たちと楽しく過ごす時間もあり、そして自分のやりたいことにも手が回っている。こういうリズム感というか、時間配分が自分には理想的なのだなと思います。

■キャパオーヴァー=成長? 心地よいリズムは大切!

もちろん、仕事や農作業が思うように進まず、それがもう一方の時間や自分のやりたいことをやる時間を削る羽目になったりし始めると家の乱れにもつながっていき、悪循環に入っていくのだな、ということもわかります。1日は24時間で、自分の中で時間を取り合っているわけなので、無意識のうちに自分の中で優先事項が上がっていることに時間を回せなくなることも当然出てきて、それが続くとストレスの要因にもなってしまいます。

また昨年度は性質が全く異なる仕事をもう1つ引き受けていたために、現場では頭や心を切り替える必要もあり、一方で他のことをしている時もそれぞれが頭や心を占拠したりもしていて(ついつい考えてしまう)、そんな風に小さく食い込んでくる時間もチリも積もれば山となるで、改めて思うと追い立てられている感じはありました。つまり、私という小さな器の容量いっぱいいっぱいだったり、超えてしまうような時間構成だったんでしょうね。

2月からご要望にお応えして始めた料理教室でのひとコマ。作った料理でランチタイム

人間は成長できるし、限界を超えるような負荷をかけることで、一歩先へ、自分のまだ見なかった世界へ入っていけるという時期も確実にあります。実際私自身もそんな場面には何度も遭遇しました。ただ最近は心地よいリズムを大事にしながら、時々自分の立っている場所を変えて全体や先々を俯瞰したり、必要に応じてヘルプが必要なところに臨機応変に入っていけるくらいの余裕やゆとりがある毎日を選びたいなと感じています。一昨年の年初に「毎月何か新しいことをやる」という目標を立てて、つい忘れそうになる時もあるけどできる限り意識しようとしているのですが、何か新しいことにチャレンジするには、時間がどうしても必要になってきます。そういう意味でも、容量いっぱいには詰め込まないことを意識できたらなと。

もちろん毎日いろんなことが起きますから、なかなか思うようにばかりはいかないものですが、「いい感じです!」と思わず口をついて出るような状態をできる限りキープできればなと思っています。

ある日の朝、近所の小さなお友達(3歳の女の子)が届けてくれた小さな小さな花束。ギリギリ一輪挿しに入れることができました。

(2022.05.11)

長谷川 浩代 プロフィール

京都出身。南フランスの人口130人の小さなコミュニティにあるバイオダイナミック農場民宿での体験から、オーガニックな暮らしを日本に伝えるため、マヴィ株式会社にて12年余りヨーロッパと日本を行き来しつつ過ごす。

2013年8月より徳島・神山町に移住、同12月に友人のカフェビストロ、Café On y va をオープン時から共に運営。

(2020年春より、ビストロはB&B On y va & Experienceに)

現在は農園作業に勤しみつつ、料理の提供、料理教室、執筆などを手掛けている。



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