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今日も美味しく、楽しく、気持ちよく――未来につながる日々の暮らし

【第62回】食材と料理

徳島・神山町からお届けする、美味しく、楽しく、気持ちよい「未来につながる日々の暮らし」

徳島県神山町に在住の長谷川浩代さん。自然豊かな神山での生活や、ワインと楽しめるおいしい食の話など…定期的にこのスペースで色々なお話を聞かせて頂きます。今回は日々食材から教えられること、季節の変化、料理の楽しさなどが中心のお話です。その時々で「正解」を考える、揃ったもので美味しく仕上げる。家庭の料理との共通点もありますね。夏野菜を沢山使ってシチリアの白がごくごく止まらない美味しい話題も。[月2回更新]

■料理の醍醐味は自然の恵みとの出会い

暦の上では立秋も過ぎ、季節は少しずつ変化しています。8月に入ってからは毎日お昼頃、空が真っ暗になって夕立のような雨が降るという日が続いている神山町です。少し離れて徳島市内に行ったら、「一切雨なんて降ってないよ!」という日も多いようなので、小さな谷の多い神山町に訪れている現象のようです。突然の強い雨で驚きますが、植物にとってはカンカンの日照りから一瞬オアシスのような恵みの雨。野菜にとっても嬉しいけど、雑草たちも大喜びなのには手を焼いています。田んぼの草の勢いもすごく、抜いている雑草を育てているなら大豊作なのに、、、と思うほどです。

まだ緑色だけど、秋を前に大きくなってきた柿の実

ここ徳島は、海の幸、山の幸、さらには川の幸まで含めて自然が生み出すさまざまな美味しいものに恵まれたとても豊かな土地です。季節ごとの野菜や果物はもちろんのこと、お魚も年を通じてこんなにいろいろあるんだなということがわかりますし、釣りをする人もやはり多いので、買うだけではなく、素敵なお裾分けをいただくこともちょくちょくあります。たいていの人は自分で野菜を作っておられるのはもちろん、ご親戚やお友達など、ちょっと範囲を広げれば職業としての農家の方が必ずと言っていいくらいおられるので、市場に出すことのできないサイズや形の野菜が大量にやってきて、「取りにおいでー」とお声がけいただくことも日常茶飯事。
同じ野菜があちらからも、こちらからもやってきた!なんていう嬉しい悲鳴が出ることも度々起きます。(中でもきゅうりはビクビクしている人も多いくらい。お漬物以外保存もきかないし、「きゅうりある?あるよねえ(苦笑)」という会話が夏にはあちこちで交わされています。)

神山でも栽培しているシャインマスカットとピオーネのタルト。ブルーベリーとレモンバームを添えて

料理を仕事の一部にしている私は、料理って本当に一期一会というか、その日の素材と気分とで創り上げていく、瞬間を形にする面白い作業だなと感じています。この徳島という土地で季節を存分に感じる素材のおかげもあって、最近特にそれを実感します。

レストランとしてのオニヴァを運営していた時も「得意料理はなんですか?」「このレストランの一押しはなんですか?」とよく聞かれましたが、基本的には今そこにある素材を見て何を作るか決めていたので(便宜上、メイン料理は1週間固定で1週間ごとに変えていましたが、前菜などはなくなれば、また次に入ってきた素材によって次々に変わっていくこともごく当たり前のことでした)、一押しと言われてもなあ、、、というのが正直な気持ちでもありました。そういう意味では、今日はなんにしようかしら…と日々献立を考える、家庭でのお料理担当の人となんら変わりはありません。フレンチ・南仏・地中海あたりがキーワードの料理店だったので、そこの縛りがあるくらいで、「今、徳島、可能な限り神山で手に入る素材」を使ってお料理をすることを大切にした結果、自分自身も季節にとても敏感になり、お皿にも季節が如実に現れることになりました。

その季節にある野菜を集めて作った多品目サラダ(マヴィイベントにて)

今なら果物はスイカ、ぶどう、ブルーベリー、いちじく。野菜はトマト、なす、きゅうり、ししとう、枝豆。ハスイモと呼ばれる、里芋の茎も見かけるようになってきました(ハスと言ってもレンコンのハスとは違います)。お魚はイサキ、ハモ、アジ、イカにエビ。徳島では車海老や足赤海老、シラサエビといった魅惑的な天然のエビに遭遇できることもあり、見つけたら「やったー!」という感じなのですが、殻ごと素揚げにして美味しい小さな海老もよく出ていて、この時期はビールのおつまみにもってこいです。

それに加えて、神山鶏や阿波尾鶏、阿波ポーク、阿波牛といった肉類も充実していて、さらには猪や鹿といったジビエまで。さすがに家畜の肉は季節に関係なく入手できますが、それでも鶏肉などは夏と冬とで脂や皮の様子が明らかに違います。そんなことが見えてきたのも日々素材と向き合ったからこそ。

畑で採れた夏野菜(インゲンとトマト)のシンプルなパスタ

■旬の食材を沢山ミックス、シチリアの白ワインが止まらない♪

料理自体も一期一会ですが、それを食べる人もまた当然ながら一期一会ですね。その時期の美味しいものが詰まったお料理の数々を、自然が与えてくれたさまざまな命を、その食卓で味わえる幸せをちゃんと感じながら食べたいなあと思います。

そういえば今年はタコもよく獲れたようで、魚を買いに出かけた際に立派な生のタコを見かけることも多かったです。家に帰って、塩でよく揉んで吸盤をきれいに掃除した後、さっと茹でた後はお刺身でも、アヒージョでも、サラダでも、たこ焼きでもなんでもお好きなお料理へ。

シチリアの白ワイン、インツォリアが手元にあったその日は、きゅうり、紫たまねぎ、トマトを小さくカットしてオリーブオイルと塩であえ、薄く切って並べたタコの上へ。おまけに作ったばかりのバジルオイルも添えたタコのマリネにしてみました。瑞々しい爽やかな白と野菜のフレッシュさ、そしてタコの旨味が加わってごくごく飲んでしまいました。友達が作ってくれたシンプルなポテトコロッケとも好相性でしたよ。

フレッシュ、爽快なシチリア白ワインと新鮮で瑞々しいタコを使って絶品マリアージュ!

インツォリア 白

シチリアの土着品種を使ったフレッシュでフルーティな白ワイン。みずみずしい味わいが楽しめるオーガニックワインです。

(2022.08.17)

長谷川 浩代 プロフィール

京都出身。南フランスの人口130人の小さなコミュニティにあるバイオダイナミック農場民宿での体験から、オーガニックな暮らしを日本に伝えるため、マヴィ株式会社にて12年余りヨーロッパと日本を行き来しつつ過ごす。2013年8月より徳島・神山町に移住、同12月にカフェビストロ、Café On y va をオープン。(2020年春より、ビストロはB&B On y va & Experienceに)現在は農園作業に勤しみつつ、食だけではない、楽しくて面白くて気持ちのいい空間と時間を創造すべく、仲間たちと日々活動中。

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