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今日も美味しく、楽しく、気持ちよく――未来につながる日々の暮らし

【第8回】土と水と生き物、人の関係

徳島・神山町で人気の「カフェ オニヴァ」長谷川浩代シェフの連載

徳島県神山町に在住の長谷川浩代さん。 自然豊かな神山での生活や、ワインと楽しめるおいしい食のことなど…定期的にこのスペースで色々なお話を聞かせて頂きます。今回は、人間と土・水の関係の話と記念赤ワインを更に美味しく!お手軽レシピも♪[

■ホタルを眺めながら…

3月末以来ずっと神山に閉じこもっていましたが、先日2月を最後にストップしていた徳島市内のカルチャースクールでのお料理教室が再開し、久々に神山の外に出かけました。「せっかく街まで出てきたので」と必要なものを探しに行く先はホームセンターや作業服の店ばかり。私の生活もこの7年で随分変わってきました。

神山では5月の終わり頃から6月半ばくらいまで、夜8時くらいになると川べりでホタルを目にすることができます。見どころのスポットはいくつかあってそこはいつも素晴らしいのですが、今年はこれまでの年ならほんの数匹しか飛んでいなかった近所の川でもとてもたくさん飛んでいて、しばしの幻想的な風景を楽しみました。

この田んぼの中にも沢山いきものがいます

最近土と触れ合う時間がもっぱら長いので、生態系や生き物の繋がりが目に入ってくる機会が多々あります。

ホタルが育つには、幼虫の時の餌になる小さな巻貝の存在が必須なのですが、先日田植えをしていたら、「この子たちは一体どこからやってきたんだろう?」と驚くほどその貝が見つかるのです。その貝は藻や植物を食べていて、藻や植物は土や水の栄養分やミネラルを吸い、太陽で光合成して生きています。

ホタルを捕食すると言われているクモやカニもやはりいます。たくさんのオタマジャクシがカエルになる頃、蛇が冬眠から目を覚まします。トンボの種類や数もこの数カ月でどんどん変わってきました。

蛍のことを調べていてわかったのですが、春先に田んぼの土を耕した時には確かに目にしたヒルが田植えの頃にはいないなあと思ったら、トンボの幼虫であるヤゴはヒルを食べるとのこと、納得です。(トンボさん、ありがとう!私たちとしては助かりました。一方ヤゴはホタルの幼虫も食べるのだそう。)

ハチもチョウチョもそれぞれ好みの花や野菜があるようで、ある木のお花にはある種類のハチがたかっていたり、畑でも数々の虫の登場に、時に悩まされたり、美しい色合いに感動したり、見たこともない生態に驚かされたり、日々飽きることがありません。

■人間の状態を映す、土・水の状態

今年の初めに、知人が「ひととつちはほぼ同義である。加えて言うならみずもまた。」という一節を書いていましたが、「つち(土)」にも「みず(水)」にもこれだけたくさんの生き物がいて、それら全ての存在があって「ひと(人)」である私たちが今ここにあるのだなあということを日々の生活で実感するのです。

在東京時代、オーガニック協会というNPOでお世話になっていた方もおっしゃっていましたが、土の状態と人間の腸の状態はほぼ同じと考えてよいのだそうです。

現代は残念ながら土が化学物質で侵されていたり、開発という名のもとに自然が壊されて土が本来の状態で無くなったり、一見自然に見える山や森も人工林が密集していて自然の生態系が守られていないことも多くあります。

地下水は雨が土に染み込んで何年も経過して濾過されて湧き出してくるものですが、その土が汚染されていれば水もきれいにならないし、まして土自体がコンクリートで埋められてしまったら雨は土中に浸透することもなく川や海に流れてしまいます。

冬に土づくりの実験をしました

土と水が豊かであれば、人もまた豊かなのだろうし、そのことが腑に落ちれば、土と水の危機を本気でなんとかするために行動する人も増えるのではないだろうかと考えています。

以前の訪問時に土づくりの大切さを話すバローさん

マヴィの生産者の皆さんは、そんなことに何十年も前に気がついて、コツコツと行動をされてきて、しかもそれを美味しいワインという形で還元しているのですね。それを飲む人が増えれば、生産者さんも嬉しいし、土や水も嬉しいし、そこで暮らす動物や植物も嬉しい。そしてそれは結果としてワインを飲んだ人はもちろんそれ以外の人々の嬉しいにも繋がっていく。素敵な循環です。

マヴィの生産者レポートはこちら

■土の恵み、野菜と赤ワイン

久しぶりのお料理教室で、赤ワインにも合いそうなメニューを作りました。

1つはマヴィの生産者さんたちからの信頼も厚い編集者のカリテさんご夫妻のところでいただいたお料理です。驚くほど簡単ですが(素材を温めるだけ)、美味しくてワインにぴったり。

カマンベールチーズとじゃがいもを用意してください。じゃがいもは小ぶりの新じゃがを皮ごときれいに洗ってゆがいておきましょう。カマンベールチーズを丸ごと耐熱皿に入れ、表面を少しくり抜いて蜂蜜をたらして180℃のオーブンで15分焼くだけ。

黒胡椒やローズペッパーとともにじゃがいもにチーズをたっぷりかけて召し上がれ。

野菜をメインにしてもボリュームあります!カベルネソーヴィニョンとともに。

一緒に写っているのはナスとフェタチーズの前菜。ナスをたっぷりのオリーブオイルで焼いた後、塩、フェタチーズ、トマト、オリーブオイル、蜂蜜とオレガノで仕上げます。こちらも同じく全く手間いらずで、ワインが進む1品です。

赤ワインに合う野菜料理はこちら

長谷川 浩代 プロフィール

京都出身。南フランスの人口130人の小さなコミュニティにあるバイオダイナミック農場民宿での体験から、オーガニックな暮らしを日本に伝えるため、マヴィ株式会社にて12年余りヨーロッパと日本を行き来しつつ過ごす。

2013年8月より徳島・神山町に移住、同12月に友人のカフェビストロ、Café On y va をオープン時から共に運営。

(2020年春より、ビストロはB&B On y va & Experienceに)

現在は農園作業に勤しみつつ、料理の提供、料理教室、執筆などを手掛けている。



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