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今日も美味しく、楽しく、気持ちよく――未来につながる日々の暮らし

【第47回】未来につながる日々の暮らし

徳島・神山町からお届けする、美味しく、楽しく、気持ちよい「未来につながる日々の暮らし」

徳島県神山町に在住の長谷川浩代さん。自然豊かな神山での生活や、ワインと楽しめるおいしい食のことなど…定期的にこのスペースで色々なお話を聞かせて頂きます。気づけば47回目となった本連載。今回は年初めに初心に立ち返り、そもそもどんな考え方でオーガニックな暮らしをするに至ったか、またそれをどのように継続するのかについて。日々の暮らしは私たちのいくつもの選択による総決算のよう。その選択も「させられている」としたら…。しっかり考えたいテーマです。[月2回更新]

■47回目を迎え、初心に立ち返る

大晦日はうっすら雪の積もった神山町でしたが、新年は清々しい天気が続いています。
2021年最後の日は、恒例のご近所でのお餅つきからの、近所のいつもの仲間と年越しそば、ゆく年くる年を見ながら除夜の鐘を聞き、東京浅草寺の人混みにびっくりしながら過ぎていきました。
明けて元旦は久しぶりの神山温泉にゆっくり入ったのち、上一宮大粟神社という地元の神社に初詣。特に目立って新年らしいことは何もしなかったけれど、とてもいい気持ちで新年を迎えることができました。

2022年の日の出

年が改まり、この連載も47回目ということで、初心に立ち返ってこの連載のタイトル「今日も美味しく、楽しく、気持ちよく――未来につながる日々の暮らし」について少し話してみようかと思います。

「おいしくて、楽しくて、気持ちいいからオーガニック!」

これは、マヴィで働き今は解散となってしまったNPO法人オーガニック協会でオーガニックフェスタを運営していた頃、いつの間にか私の中で生まれ、その時以来自分のキャッチフレーズのようになった言葉です。
マヴィのワイン選びもそうですが、オーガニックであればなんでもいいわけではなく、食べ物であれば「おいしい」、住まいや道具、衣服であれば「気持ちいい」、そして気分が「楽しい」ということはとても大切。(もちろん、「おいしい、気持ちいい、楽しい」の基準は人によってずいぶん幅があるものなので、あくまで自分がそう感じるものということです)

そもそも、「環境のため」とか「未来のため」といった理想の前に、私自身が「おいしい!楽しい!気持ちいい!」と感じるものや暮らし方を選んでいったら、自然とそれがオーガニックな暮らしに結びついていきました。
実際、思想や一時的な考え方で選んでいくものは、当然ながら考え方が変われば選ばなくなるので継続しなくなっていくけれど、心身が納得して選んでいく暮らしであれば自ずと続いていって、そういう人が増えていくことが結果としてオーガニック製品を生み出している人々を支えることにつながる・・・そう考えて出てきたのがこのフレーズでした。

光と温度が足りなくて熟してくれないグリーントマトと完熟すだち、生姜を加えてコンフィチュールに

農産物は工場製品とは違って、原料を用意してボタンを押せば生産できるわけではなく、作る人の意思と気候に味方してもらい、自然の力を借りなくては成り立たず、そこには土づくりから機械や道具、技術や勘所が備わってようやくまとまった量を作っていけるわけで、「流行っているのでたくさんください!」とか「ブーム去ったんでいりません!」と言われても、生産者の方は容易に対応できません。
だから、ライフスタイルとして定着する必要がある。すなわち、自分自身で(←ここ、とても大事!広告や目や耳に飛び込んでくる情報に惑わされずに)感じて、考えて選んでいくこと自体がオーガニックなライフスタイルなんですよ、と講演などでも話していました。そこは今も全く変わっておらず、自分が肌で心地よいと感じること(もの)、好きだと思えること(もの)、そして頭で考えていいと思えること(もの)を選んで日々暮らしています。

神社に向かう参道。ハードな坂ですが気持ちよくて好きなんです

■連載タイトルに込めた思い

そこに、神山に来てからの暮らしのおかげもあり、自分の中でもう1つくっきりしてきたこと、それが「今現在の日々の暮らしが未来につながっていく」ということです。こうして文字にすると当たり前過ぎて滑稽かもしれませんが、伝統的な知恵だったり、技術などが伝承されていくかどうかも、耕作放棄地や森林が荒れ果てて獣害の問題が発生するかどうかも、「湯水のように使う」という諺ができるほど豊かな水資源を誇る日本のこの状況がこれからも続いていくかどうかも、登山やハイキング、サーフィンやカヤック、キャンプなど自然とともに楽しめるスポーツや遊びがこれまで通りに継続できるかどうかも、少子高齢化に歯止めがかかるかどうかも、本当に何もかも、今の私たちがどんな暮らしを選んで実践していくかにかかっているのです。

東京でフランスと往復しながら目にして感じて発信してきた暮らしから、ここ神山で生活していくうちに、こうしたことを心の底から実感できるようになり、それを伝えていきたいという気持ちから、ずいぶん長いけれどこんなタイトルに落ち着きました。

このタイトルとは直結していない話も46回の中にはあったかもしれませんが、一人でも多くの人に「日々の暮らし方が未来をつくる、未来につながる」ということが伝わって、毎日の暮らしをちゃんと大切に、意識的に営んでいく人が増えるといいなと思いながら毎回綴っています。いつも読んでくださってありがとうございます。ご意見やご感想、ご質問など、もしいただけたらとても嬉しいです。

2022年もどうぞよろしくお願いします。

おまけ:メイエー家のビュルドミュスカ。アルザスのポークパイや鶏ハム、生ハム、野菜のグリルとともに豪華な食卓!

(2022.01.12)

長谷川 浩代 プロフィール

京都出身。南フランスの人口130人の小さなコミュニティにあるバイオダイナミック農場民宿での体験から、オーガニックな暮らしを日本に伝えるため、マヴィ株式会社にて12年余りヨーロッパと日本を行き来しつつ過ごす。

2013年8月より徳島・神山町に移住、同12月に友人のカフェビストロ、Café On y va をオープン時から共に運営。

(2020年春より、ビストロはB&B On y va & Experienceに)

現在は農園作業に勤しみつつ、料理の提供、料理教室、執筆などを手掛けている。



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