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今日も美味しく、楽しく、気持ちよく――未来につながる日々の暮らし

【第30回】地球の循環を意識する

徳島・神山町からお届けする、美味しく、楽しく、気持ちよい「未来につながる日々の暮らし」

徳島県神山町に在住の長谷川浩代さん。自然豊かな神山での生活や、ワインと楽しめるおいしい食のことなど…定期的にこのスペースで色々なお話を聞かせて頂きます。今回は生態系と人間の関係、人間は循環を邪魔している…?ヒヤリとさせられる話と、暮らし方も参考になるラングドック地方の生産者、べリューさんの甘口スパークリングワインもご紹介![月2回更新]

■新緑の季節、お茶作りも楽しい!

 青空の下でも、雨の滴る日でも、とにかく新緑が美しい季節になりました。今年もまた新茶の季節が巡ってきて、あちらこちらで茶摘みの話が聞かれます。私も思わぬところにお茶の木を見つけ、少し摘んで緑茶を作ってみました。
 緑茶は、摘んだ茶葉を蒸し→揉んで→炒りながら水分を飛ばす、を繰り返して乾燥させていくことでできあがります。淹れる温度で随分味わいが違い、最初は渋みだけが目立つのに甘みや味わいがなくてがっかりしたのですが、温度や抽出時間によってその良さが引き出されるととても美味しくて、これはしっかり摘んで1年分のお茶を作らなきゃと俄然やる気になっています。
 もう少し気温が高くなる季節になったら、発酵が必要な紅茶も去年に引き続き作る予定。ひと手間はもちろんかかるし、時間は必要ではあるのですが、自分で作れるものが増えていくことで、小さな喜びが積み重なっていく生活ができることはありがたいなあと思います。

できあがった緑茶

 種をまいたり、苗を植えたりするために土を耕そうと掘り返していると、すかさず鶏たちが近づいてきます。土の中には彼らが大好きな虫たち(ミミズとか幼虫とか、その他いろいろ)が生息しているので、人間が掘り起こしてくれたら、横で待っているだけでおいしいご馳走にありつけるからです。
 本当によくわかっているなあと感心します(実際に掘り起こさなくても、道具を持って歩き出しただけで遠くにいても駆けつけてきます!)。土の中にはモグラの穴もあって、モグラもミミズを食べていますし、ミミズは土の中の根など有機物なら何でも食べて分解して糞として排泄しています。それが土中の栄養分となり、それを植物が吸い上げて成長したり、実らせたりしてくれる訳です。
 一方ミミズは鶏の餌にもなり、その鶏は卵を産んで、新しい鶏が誕生することに繋がったり、私たちの食卓に上ったりします。鶏の排泄する糞も発酵して分解が進むと、とても良い堆肥となって大地を肥やしてくれます。

何するの?虫掘るの?と寄ってくる鶏たち

■人間は循環の中に入っている…?

 食物連鎖という言葉はよく知っているし、どういうことかも理解しているつもりでしたが、こうやって現実を目の当たりにするのは頭で理解しているのとは大違いです。これまではよくピラミッド状の図で描かれた、単純に食べて食べられる相関関係という理解でしかなかったなと思いますが、実際には動植物の世界ではこの流れは見事にくるくると循環していて、よほどの気象条件や大地震のような変動が起きない限り、永遠にずっと続いていくのだろうなということが本当によくわかります。
 一方、そこに人間が加わると、滅多なことでは他の動物に捕食されるわけでもなく、食料を狩猟採取だけに留めず、作り出す能力をもつことで増殖を続け、排泄物を大地に還していく訳でもなく、何によっても分解されない物質をひたすら増産して・・・と数え上げればきりがないほど、この地球上に当たり前に存在している循環の姿を断ち切っている様が次々と浮かび上がります。
 このままだと地球の一員としては、明らかにウエルカムされないだろうことは容易に想像できる。どうやったらこの循環の輪から外れずに暮らせるか、いや既に外れてしまっているから、再び循環の輪を修復し戻っていけるかを考えて暮らしていかないとまずいなあとひしひしと感じます。

ローズマリーを剪定し、ポールの脇にトマトをたくさん植えました

■ワイン農家べリューさんから学ぶこと

 リムーのベリュウさんは、そんな循環にそった暮らしを率先してやっている大先輩の1人です。マヴィのワイン農家さんはそんな人ばかりなのですが、ずっと昔から、徹底的にという意味で真っ先に思い浮かぶご家族の1つ。
 以前にも紹介したことがありますが、マヴィ在籍時代にも何度もお世話になり、オニヴァのメンバーとも数日滞在させてもらいました。作業を一緒に手伝ったり、ベリュウさんの仲間でやはりそうした暮らしをしている方々を紹介してくださったりして、とてもよい体験となりました。
 断熱がしっかりされた家がどれだけ快適か、どれだけエネルギー少なく暮らすことができるかは、一般的な日本の家に暮らしている人から見ると驚くばかりです。エネルギーが足りないからどう作り出すか、持続可能であるために自然エネルギーへ移行しよう、という考えももちろん大切ですが、エネルギーを使わなくても快適に暮らすにはどうすればいいか?という視点も、長期的な持続可能性を考える上では欠かせないものです。

■優しい甘口スパークリングとデザート

 そんなベリュウさんが作り出すワインは、やはり原料であるぶどうだけを使ったもの。畑で農薬や化学肥料を使用しないことはもちろん、醸造過程においても何も足さないやり方です。
 今回は大好きなリムー古代製法のラ ボエームをお友だちのお誕生日祝いに開けました。日本ではお祝いの席では最初に乾杯の泡を開けることが多いですが、フランスでは最後のデザートの際にシャンパーニュやスパークリングがオープンされることが多いです。
 ラ ボエームは心地よい甘さでデザートを盛りたててくれる泡なので、とてもよい組み合わせとなりました。クリームチーズを使ったチーズムースをベースに、八朔といちごを合わせ、ホワイトチョコで飾ったケーキです。お陰さまで好評のうちに瞬く間になくなりました。

 お酒がそこまで得意でない人にもリンゴのような香りと上品な甘さ、低めのアルコールでとても人気ですが、「甘口のお酒はちょっと…」と敬遠しがちなお酒好きな方にも、おいしくて驚かれることが多いワインです。アペリティフにも嬉しいし、今回のようにデザートとの相性もよいのでぜひ試してみてくださいね。

ホワイトチョコの下には八朔とチーズムース、ムースの間にいちごが入っています

(2021.05.12)

長谷川 浩代 プロフィール

京都出身。南フランスの人口130人の小さなコミュニティにあるバイオダイナミック農場民宿での体験から、オーガニックな暮らしを日本に伝えるため、マヴィ株式会社にて12年余りヨーロッパと日本を行き来しつつ過ごす。

2013年8月より徳島・神山町に移住、同12月に友人のカフェビストロ、Café On y va をオープン時から共に運営。

(2020年春より、ビストロはB&B On y va & Experienceに)

現在は農園作業に勤しみつつ、料理の提供、料理教室、執筆などを手掛けている。



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