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今日も美味しく、楽しく、気持ちよく――未来につながる日々の暮らし

【第16回】「住まいの循環、物の循環」

徳島・神山町からお届けする、美味しく、楽しく、気持ちよい「未来につながる日々の暮らし」

徳島県神山町に徳島県神山町に在住の長谷川浩代さん。自然豊かな神山での生活や、ワインと楽しめるおいしい食のことなど…定期的にこのスペースで色々なお話を聞かせて頂きます。今回は神山の住みやすさが垣間見れる良い循環の話と根菜にぴったり、手頃な赤ワインと合わせるレシピです。[月2回更新]

■面白い動きが次々とつながる神山町

 いよいよ私たちも稲を刈りました。この間田植えをしたように思うけれど、季節は初夏から梅雨、夏、秋へと移ったことになります。そんなに広くないこともあって、手刈りで昔ながらのはざがけをして、天日干しにします。という訳で、新米を炊けるのはもう少し先になりそうです。

稲刈り、頑張りました~

 神山町は一見すると、地方のどこにでもありそうな中山間の人工林でいっぱいの過疎化・高齢化が進んでいる町です。でも実際は「地方創生」や「過疎の町の地域活性」といったキーワードに関心のある方なら知らない人はいない、と言われているほど次々と面白いことが起きています。(起きることを想定して準備してきた人たちがいて、起こした人・起こしている人たちがいて、それに触発されてまた起こす人・起こそうとしている人、それを感じようとする人たちが現れている、という感じです)。私が移住してまる7年が経ちましたが、その間にも随分たくさんの変化があり、現在進行中のこともいっぱいあって、かつてこの町のことを「“あがり”のない双六」と表現した方がおられましたが、まさにその通りだと思います。

 そんな神山町で自分も何かやってみようとか、ライフスタイルの変化を求めて神山町で暮らしたいと思って、町外から移り住んで来る人も多いのですが、そこでまず最初に必要になるのがなんと言っても住居。不動産で探せる場合もゼロではありませんが、それはかなりのレアケースです。現実問題、空き家はあれど購入したり借りたりするのは容易ではありません。そこで移り住みたい人と住まいをマッチングする機能を果たしているのが移住交流支援センターです。

■心地よい住まいへ生まれ変わる空き家

 移住交流支援センターでは、神山町役場に設けられた「空き家相談窓口」と連携して、移り住みたい人の条件と、貸したり、売ったりしたい人の希望や条件に沿った形で、移住希望の方に住まいの提案をしています。無事に賃貸や売買の契約が成立すると、空き家に残っている家主さんの不要な荷物の整理や掃除も引き受けています。長年使用されていなくて、使われなくなった物にあふれていた住まいも、不要なものが外に出されるとすっきりとして、改修や今後どのように暮らしていこうかというアイデアも湧いてきます。改修は人によって自分たちで少しずつ進めるという強者もいますが、町の大工さんや施工業者の方と相談して、新しく床を貼り直したり、天井の雨漏り等の修理をしたり、水回りを整えたりと、家の状況に応じて次のステップへと進みます。町ではそうした移住の際に発生する家の改修の費用の一部を補助する制度も用意しています。

我が家のフローリング(節も多いけど、それもまた味わい)

 今私の住む家もそうですが、「木のまち神山」ではフローリングはもちろん無垢の杉の木です。今ではすっかり当たり前の感覚になりましたが、裸足で歩いてもとても気持ちが良いし、見た目も美しいし、何より地元で伐られて、挽かれて材になって、地元の大工さんに丁寧に仕上げてもらったとわかっている場所で暮らせるのは実はとても特別で、気持ちの温まる幸せなことなんだなあと改めて実感します。

 空き家の整理や掃除を進める中で、昔の道具や器、建具、機械など、廃棄してしまうには勿体無い、まだまだ使えるというものもたくさん出てきます。移住交流支援センターでこの仕事に従事してきた担当者が、それらを次に必要とする人たちに使ってもらえる手段はないかと、今年になって「モノストック」の活動が始まりました。これもまた、神山町の中で新たに起こっている変化の1つ。私も月に1度のオープンデーを楽しみにのぞきに行っています。

モノストックの様子

■ごぼうも引き立てる実は万能?赤ワイン

 近所に住む仲間が、ごぼうができたのでどう?と声をかけてくれたので、ごぼうと言えばオゥレギュームの五十嵐シェフはごぼうを美味しくフレンチに仕立てておられたなあと思い出し、じゃあ手元にあったシャランテと一緒にご飯を食べよう!と集まりました。ごぼうと言えば牛肉!とつい牛肉を用意してしまったけれど、豚肉や鶏肉でもシャランテとの組み合わせは美味しく味わえると思います。

 干し椎茸を戻しておきます。鉄鍋など厚手でしっかりと熱を保ってくれる鍋にオリーブオイルを熱し、5cm程度の長さに切ったごぼうをじっくりと焼きます。焼いたら一旦取り出し、ごぼうの香りの移ったオイルに、塩胡椒して室温に戻しておいた牛もも肉の塊を入れ、表面にしっかり焼き色をつけるよう六方を焼きます。肉も取り出し、アルミホイルで包んでできるだけ温かいところに置いておきます。その鍋に必要であれば少しオイルを足して、みじん切りにしたたまねぎを炒めます(ごぼうの香りと肉の旨味が加わっています)。
 ゆっくりと炒めて、塩胡椒をして、赤ワインとバルサミコ酢、戻した水ごと干し椎茸を加えてさっと混ぜ、その上にごぼうと肉を戻して蓋をします。
牛肉の場合、大きさにもよりますが10分前後で火を切り、あとは余熱でさらに10〜15分。牛肉を切り分け、ごぼうを盛り付け、たまねぎと椎茸はソースとしてどうぞ。素朴で大地の味がするごぼうが、開いてきたシャランテと良い感じに呼応します。
 もっとお手軽に肉入りきんぴらでも良い相性。写真の奥に写っているのはポテトと塩鱈のグラタンですが、こちらのクリーミーさも合わせて良き食卓でした。

良い色に仕上がったローストビーフ!ごぼうも美味しそう♪

(2020.10.14)

長谷川 浩代 プロフィール

京都出身。南フランスの人口130人の小さなコミュニティにあるバイオダイナミック農場民宿での体験から、オーガニックな暮らしを日本に伝えるため、マヴィ株式会社にて12年余りヨーロッパと日本を行き来しつつ過ごす。

2013年8月より徳島・神山町に移住、同12月に友人のカフェビストロ、Café On y va をオープン時から共に運営。

(2020年春より、ビストロはB&B On y va & Experienceに)

現在は農園作業に勤しみつつ、料理の提供、料理教室、執筆などを手掛けている。



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