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今日も美味しく、楽しく、気持ちよく――未来につながる日々の暮らし

【第72回】すれ違いの正体

徳島・神山町からお届けする、美味しく、楽しく、気持ちよい「未来につながる日々の暮らし」

■ちょっとしたやり取りの中に…

2月は逃げると言いますが、あっという間に半ばも過ぎ、梅が開いて椿の蕾が膨らんで、あちらこちらに春の気配を感じます。とはいえ、まだまだ寒さも厳しく、目まぐるしく変わる気温に体調管理が難しい日々ですね。そして花粉症の方にとっては辛い季節に突入でしょうか。

キリッとした青空と梅の花

年の初めに久しぶりに弟と会ったのですが、親戚の家経由で目的地に行くためにやりとりをしながら、お互いが「あれ?」と「?」が飛び合うような状況に遭遇しました。

私は以前も伝えたかもしれませんが、徳島では車がないと話にならないので車に乗っています。そもそも徳島に来てから車に乗り始めたこともあり、交通量の多いところや長距離の運転は苦手。そんなわけで、関西に帰省する時は高速バスに乗り、着いたあとは電車や地下鉄など公共の交通機関で移動します。

逆に弟は関西に住んでいて、家族で一緒に移動することが多いこともあって、基本どこに行くにも車です。そんな弟とのLINEでの会話。

私:(親戚の家のことを指したつもりで、最寄駅の名前で)◯◯に13時ね。

弟:え?◯◯?それって電車の駅やんな?家に行くのかと思ったけど◯◯駅ね、了解。

私:いやいや、家で合ってるよ。その家のある場所というつもりで◯◯って言ったよ。

弟:◯◯?△△市の家やんな?

私:そうそう。私は普段、電車で行くから電車の駅のイメージが強くてそう伝えたけど、△△市の家のことよ。

とまあ、こんな具合でした。

■相手は自分と「同じ」という前提や思い込み

お互いの持ってる認識に違いがあると、一切複雑な要素のないことでもこんなに話が噛み合わなくなるんだ…とびっくりしました。

話が大したことではないし、なぜ弟に話が通じてないかがすぐにわかったので、穏やかに何の問題もなくすれ違いは解消されて事なきを得ましたが、逆に考えるといざこざやもつれって、実はこんなお互いの持ってる前提条件による思い込みから起きていることが多いんだろうな、と気づかせてくれるできごとでもありました。

今回のように、疑問に思ったことを即聞いてくれれば、誤解が大きくならないうちに解決できるけれど、変だなと思いながらも自分が理解したように動いたら、相手の思惑とずれていて、お互い無駄な時間を過ごしたり、嫌な思いをする、なんてことは日常茶飯事に起きていそうです。それが仕事とか、もっと大事なことの場合は、嫌な思いくらいで済まない場合だってあり得るでしょう。

面と向かって1対1で話していたのに、お互いの覚えていることが全然違っていたり、別の受け止め方をしていることなんかも起こりがちです。これも人は全員違う人生を歩んできて、今現在の関心ごとも得意なことも生活習慣も何もかも全く一緒ということはないわけだから、自分が話したことをそのままの意図通りに受け取ってもらえる方が実は稀なことなのかもしれないな、なんて思ったりもするのです。

久しぶりに訪れた海と夕日

単語の定義も人によって認識が違っていることもあります。「電車」や「りんご」など、誰にとっても明白と思える具体的な物体についてさえ、思い浮かべるものは人それぞれ少しずつ違っていると思うのです。

県民性を紹介するテレビ番組などを見ていても、ある人にとっての常識が他所では全く通用しない、なんてこともよくありますね。まして、抽象的な事柄や、いくつもの条件が重なった複雑な話などは、理解の仕方に違いがあっても不思議ではないでしょう。

そう考えると、本当に大事な話を伝えたいときは、慎重にどこが理解されていないか、大きくずれているところはないだろうか、と確かめながら進めるくらいでもやりすぎではないのかもしれません。大事な話の場合に契約書が交わされるのも、お互いの前提にずれがないことを文字にして確かめ、時間が経って記憶が薄れてもいつでも文書で確認できるからに他なりませんね。

すれ違いは起きないに越したことはありませんが、オンラインでのやり取りも増えている昨今、少しでもしっくり来ないときはできるだけ早めに伝えることが早期解決への近道だと思います。一方で、以心伝心や言わずもがな、といった情緒が失われているようで寂しくもあるのですが…

■マルケ地方のしっかりめ白ワインと柑橘入り早春サラダ

先日、釣りが大好きでもうほとんど漁師?というくらい名人級の友達がマハタという美味しい魚をお刺身、昆布締め、アラとたっぷりのネギ(こちらもその友人の畑から)で作ったとても美味しいスープを持ってきてくれて、いつもの仲間で晩ごはん。

こちらはある日の釣果。メバルやカサゴがぴちぴちして美味しそう!

私は春になって柑橘が姿を見せ始めると作りたくなる早春のサラダを用意しました。今回は文旦にかぶとかぶの葉、菜の花と自家製のサラダチキンで。

粒マスタードとオリーブオイルと塩という至ってシンプルな味付けです。

ワインは手元にあったイタリアのパッセリーナ。濃厚な白なので、サラダは若干爽やかすぎてワインが勝っているくらいの感じがしましたが、旨みたっぷりのマハタは刺身もスープもバッチリで、北海道の「幸(さち)」という名の旨みが凝縮したチーズともいい相性でした。

春の味覚とパッセリーナ白。シンプルなのに超絶美味しい!

イタリアマルケ州の白ワイン パッセリーナ の詳細はこちら

長谷川 浩代 プロフィール

京都出身。南フランスの人口130人の小さなコミュニティにあるバイオダイナミック農場民宿での体験から、オーガニックな暮らしを日本に伝えるため、マヴィ株式会社にて12年余りヨーロッパと日本を行き来しつつ過ごす。

2013年8月より徳島・神山町に移住、同12月に友人のカフェビストロ、Café On y va をオープン時から共に運営。

(2020年春より、ビストロはB&B On y va & Experienceに)

現在は農園作業に勤しみつつ、料理の提供、料理教室、執筆などを手掛けている。



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