泡の世界(1)|トラディショナル(シャンパーニュ)製法とは

暑い日におすすめはスパークリングワイン

夏は陽気、夕方になってもまだ明るい!と気分があがります。この季節におすすめしたいワインといえば、もちろんスパークリング

これからスパークリングワインが美味しくなる本格的な夏に向けて、魅力的なスパークリングワインの世界を覗いてみましょう!

スパークリングワインの代名詞シャンパン

マヴィでも様々なスパークリングワインを取り扱っていますが、スパークリングワインというとシャンパーニュ(シャンパン)のことを連想する方が多いのではないでしょうか?

シャンパンは華やかなイメージがあり味わいも格別ですが、お値段もちょっとお高いですし、シチュエーションも選ぶワインですので気軽に飲めるワインとは少し言い難いかも…

「シャンパン」は本来フランス語読みであった「シャンパーニュ」が英語読みの「シャンペン」になり、日本で「シャンパン」と落ち着きました。紛らわしいので、ここから先は「シャンパーニュ」でお話しします。

シャンパーニュだけがスパークリングワインではない

スパークリングワインの代名詞のように使われることのあるシャンパーニュですが、あくまでも種類のひとつ。シャンパーニュ以外にもたくさんの産地で生産されていて、製法や味わいなど様々な種類があります。

スパークリングワインの基礎知識(ちょっと濃いめ)

スパークリングワインと一般のワイン(スティルワイン)は、ぶどうの選択も製法もだいぶ違います。そこでまずスパークリングワインならではの基礎知識を説明いたします。

とはいえご自分でワインを造る訳ではないので、「あ、だからそうなんだ!」ぐらいの気持ちで読み進めてみてくださいね。

スパークリングワインのぶどうは寒い地域が好き!

気候や気温によって、ぶどうの香りや味わいの成分、酸味、糖分などは異なってきます。

ワインのアルコールはぶどうの糖分から造られるので、一般的にはぶどうの糖度が高くなる暑く乾燥した地域の方がスティルワイン用のぶどう栽培には向いているといわれています。

しかし、スパークリングワインの有名産地はフランスのシャンパーニュ地方、イタリア北部のヴェネト地方、スペイン北部のカタルーニャ地方など比較的涼しい場所に多くあります。

スパークリングワインに適したぶどう作りには、寒い地域、または暑い夏でもぶどうを冷やしてくれる要因が揃っている地方が好まれるのです。

寒い地方のぶどうの特徴

  1. 酸味が強いぶどうができる
  2. 品種の特徴的な風味が感じられる
  3. 糖度があまり高くないぶどうができる

製法は後で説明しますが、多くのスパークリングワイン造りでは、一度出来上がったワインに、もう一度アルコール発酵をさせて泡を作ります。その際に1~2%程アルコールが増えるので、最初に造るワインのアルコール度数を抑えるためにも、糖分が少ないぶどうが有利です。

スパークリングワインの泡は、良くも悪くも、ワインの味わいを強調させる力を持っています。泡の炭酸と共にキレを作り出す酸度は重要。そしてアロマが強く複雑味も欲しいので、寒い地方のぶどうが使いやすいのです。

しかし、それぞれの地域や製法に合わせてぶどうに求められるポイントは他にもあり、一度興味が湧くと面白くなって止まらなくなってしまいます。

スパークリングワインの製法

スパークリングワインは炭酸ガスの泡をワインの中に閉じ込めるため、普通のワイン製法とは異なった特殊な作り方をします。主な製法は次の通りです。

  • トラディショナル製法(シャンパーニュ製法)
  • シャルマン製法
  • 古代製法(メソッド アンセストレル)
  • 炭酸ガス注入製法

それでは今回はトラディショナル製法についてお話ししましょう。

トラディショナル製法(シャンパーニュ製法)

トラディショナル製法は、18世紀後半にシャンパーニュ地方オビレ村の修道院でドム・ペリニョン師によって発明された製法です。かつてはシャンパーニュ製法と呼ばれていましたが、現在はトラディショナル製法と呼ばれています。

以下がトラディショナル製法の流れです。

ぶどうを搾り果汁とする

ぶどうを圧搾してぶどうジュースを作ります。

果汁をタンクで発酵させ白ワイン(キュベ)を造る(1次発酵)

圧搾した果汁は果皮の酵母で発酵してワインとなります。

白ワインと赤ワインを混ぜてロゼワインにしたり、樽で熟成させて風味を豊かにさせたりと微調整も可能です。2次発酵ではアルコールも増えるので、この時点では少しアルコール度数が低いワインです。

キュベに酵母と糖分を加え壜詰め(ティラージュ)

元となるワインにもう一度酵母、発酵に必要な糖分等が混ざった「リキュール・ド・ティラージュ」を加え、王冠で栓をして瓶詰めします。

瓶内で発酵して泡を作る(瓶内二次発酵)

酵母に糖分を与えて発酵させて二酸化炭素(CO2)とアルコールが発生します。発生したCO2はボトル内に残り、液体に溶け込みます。

発酵を終えた酵母は分解されて瓶内に残り、ワインに味わいを与え続けます。これが滓です。この時点でボトルは逆さにして保存します。

瓶内熟成

この滓の上でワインをビン内で熟成させます。

役目を終えた酵母は、自己消化を起こしてブリオッシュやビスケットなどの香りをワインに与えます。

ワインのスタイルによってこの熟成期間の長さは変わってきます。

ブルーノミシェル家のセラーに眠るシャンパーニュ達

滓集め(リドリング/動瓶)

熟成が終わったら、約8週間かけて逆さになったボトルを少しずつ回します。そうすることで澱がボトルの首に集まってきます。

この工程は機械で行うと、3日から4日程で済みます。

滓抜きと打栓(ディスゴルジュ)

王冠を抜き、出荷のためのコルク栓に打ち換えます。この際にボトルの首に集まった滓はビン内の炭酸ガスの圧力で飛び出します。

調整(ドザージュ)

ディスゴルジュの際に減ったワインを補うため、ワインと糖分が混ぜられたものが入れられます。

「リキュール・デクスペディション(門出のリキュール)」と呼ばれ、甘さを調整し、酸味とバランスを調整できます。

ゼロドサージュ

このドサージュを行わないワインは、ドサージュゼロとかノンドサージュと呼ばれています。味の調整をしないので、全ての段階でパーフェクトであることが求められます。

スパークリングワインの頂点:シャンパーニュ

「シャンパーニュ」と名乗るには、シャンパーニュ地方で、トラディショナル製法で醸造しなければならず、厳格にコントロールされています。

また最低15か月の熟成が必要です(その内12か月はビン内で熟成させます)。

マヴィのオーガニック シャンパーニュ生産者達

マヴィにはシャンパーニュに2軒の生産者がいます。いずれも自分の畑のぶどうを自分で収穫して、自家醸造する、極めて稀な、秀逸な醸造家です。

シャンパーニュの聖地オヴィレ村のブリアール家

ドン ペリニョン師がシャンパーニュを発明したオヴィレ村の修道院の南麓の修道院付畑の中腹、プリミエクリュ格付け畑がブリアール家の畑。

ここから生まれる比類なきシャンパーニュはこちらから

コート ド ブランのミシェル家

シャルドネ中心の産地コート ド ブランのプルミエクリュ格付へ畑、ドンペリニヨン師に並ぶもう一人とパイオニア ドン ウダール師の僧院がミシェル家の蔵。

ここから生まれるシャープなシャンパーニュはこちらから

シャンパーニュの楽しみ方

シャンパーニュが美味しい温度

一般的にシャンパーニュは6℃から8℃に冷やして飲むと美味しく楽しめます。

ただマヴィで取り扱っているシャンパーニュは味わいのしっかりしたものが多いので、冷やし過ぎない位(8℃から12℃)の方がおすすめです。

シャンパーニュと合わせる料理

シャンパーニュは食前酒ですから、アミューズブッシュのチーズや生ハム、サラダなどと良く合います。

しっかりとした酸味やコクがあるので、カキやエビ、カニなどの海の幸とも相性が良いです。特にレモンやバターなどの酸味や濃厚なソースと合わせても良いでしょう。

言うまでも無く、お寿司とも合う事は間違いありません。

これは日本人が好む食べ方かもしれませんが、天ぷらなどの揚げ物にも充分に合うのが魅力的。素材の味わいを引き立ててくれますし、衣の触感と泡の触感のマリアージュは贅沢とも言えるでしょう。

シャンパンフルコース

それ以上にシャンパーニュは幅広いお料理に合わせられますし、泡の存在がお料理の味わいを引き立ててくれます。軽めの味付けならば、肉のメインコースも十分にこなせるので、実際、シャンパーニュだけでフルコースを楽しむことも可能です。

世界に広がったトラディショナル製法

今回は、シャンパーニュを始めとしたトラディショナル製法やそのために使われるぶどうの条件などをご説明させていただきました。

「そうだ、シャンパーニュを飲んでみたい!」という気持ちになっていただけたら嬉しい限りです。

ちなみに、トラディショナル製法はシャンパーニュ地方に限らず世界中でも造られています。

同じフランス国内では「クレマン」と呼ばれ、スペインでは「カヴァ」と呼ばれます。こちらも興味深いワインで、次回ご紹介したいと思います。

マヴィ自由が丘店スタッフ 塩澤 悠

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