
鴨のコンフィとは
ちょっと贅沢なイメージがある鴨のコンフィ。フランス料理の代表的存在で、ワインとの相性は抜群です。コンフィ(confit)は保存を意味する言葉で、冷蔵庫のない時代に果物や肉など腐りやすい食材を長期間保存する調理法です。果物は砂糖漬けにして、肉は油脂の中で低温加熱してそのまま保存します。
鴨のコンフィはピレネー山脈の麓のガスコーニュ地方が発祥の地とされています。16世紀にカトリックとプロテスタントの宗教戦争を終わらせ、フランスを統一しブルボン王朝を開いたアンリ4世は、ピレネーの麓のガスコーニュ出身。このアンリ4世にとって鴨のコンフィは幼い頃より親しんだ味で、樽に詰めた鴨のコンフィをパリに送らせて王家の食卓に供されたのが、フランス料理界で広まったきっかけと言われています。パリの貴族社会で磨かれた鴨のコンフィはフランス料理の代表格となり、もちろんフランス中の銘醸ワインと一緒に提供されたのです。 |
現在は、保存性を高めるだけでなく、旨味が凝縮しジューシーに焼きあがるお肉のコンフィは、フランス料理の代表格。味がしみ込んだしっとりと柔らかい身とパリッと香ばしく焼けた皮が絶品で、世界中のレストランやビストロでワインと楽しまれています。
白ワインと鴨のコンフィのマリアージュ
鴨には赤ワインという方も多いと思いますが、ソースはかけず、シンプルにレモンを絞っていただく場合や、メインではなく前菜としていただくような場合に白ワインもおすすめです。オイリーでしっとりした肉質には、コクのある白ワインがぴったりです。
赤ワインと鴨のコンフィのマリアージュ
鴨との相性が最も知られているのがピノノワール。鴨の特徴である、弾力ある肉質や、牛や羊ほどに重くない脂が、心地いい酸味と優しいタンニンを持つピノノワールにぴったり合います。またコンフィは、煮込み料理等と違って、素材の美味しさを楽しむお料理なので、繊細なワインがしっくりきます。
そのままでも美味しくいただける鴨のコンフィですが、赤ワインソースやバルサミコソースをかけると、ミディアム~重めのワインとの相性がぐっとよくなります。凝縮した果実味やスパイシーさを感じるワインはいかがでしょうか。
ボルドーワインといえば力強いフルボディのイメージですが、酸味もあり果実味とのバランスがいいので、鴨料理とよく合います。ボルドーとガスコーニュ地方はお隣なので、鴨料理はボルドーの名物料理としても、気軽にボルドーワインと楽しまれています。
いかがでしたか。鴨のコンフィは、意外とあっさりしていてクセも強くありません。いろいろなワインとのマリアージュが楽しめますが、味付け次第で相性のいいワインとペアリングさせれば、さらに口どけもよく、美味しくいただけます。
